民族のソウル・フード探訪 =087=

◇◆ 世界魂食紀行 ソウルフード巡礼の旅   ◇◆

【“NATIONA GEOGRAPHIC/日本語版(文=中川明紀・編集者)”に追記補講】

ネパールの“三位一体”弁当とは? =3/3= ★

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 インドの北部はチャパティなどの小麦粉を練って焼いたものが主食なので、水分が少ないほうがからませやすい。 いっぽう、ネパールは米、しかも細長くパサパサしたインディカ米が主食なので水分があるほうが相性がよいのだろう。シュレスタさんの話を伺っているうちに、昼食の時間が終わりに近づいていた。 食べ終わった子どもは、流し台にいって弁当箱をきちんと洗っている。 「えらいねー」と感心していると、「お母さんのお手伝い」だと元気な返事。

「彼らの親の多くは出稼ぎで日本にきています。 ネパールは小規模な農家が多く、1人あたりのGDPは約700米ドルと貧しい国です。 そのため、多くの国民が中東やオーストラリア、そして日本に働きに行くんです」

それも、たいていは子どもを自分の親や親戚に預けて働きに来るとシュレスタさんは言う。 その大きな理由が学校だ。「言葉の壁があるので普通の学校や日本語学校は難しいんです。 ネパールの教育は英語で行われるので、インターナショナルスクールに通う手段もありますが学費が高い。 何より、母国の言葉や文化を学ぶことができません」

中には日本で生まれた子どももいる。 両親が働いているため、1日の大半を保育施設で過ごす子どもたちは日本語を話すようになるから、ネパールに帰ると祖父母や親戚と意志の疎通ができない。 そんな子どもをシュレスタさんは何人も見てきた。 とはいえ、ネパールに置いてくると親は教育を施せないし、さみしい思いをさせてしまう。 スクールの設立はとても大事なことだったとシュレスタさんは語る。

「設立を思い立ったとき、日本で発行しているネパール新聞の購読者を中心にアンケートを取ったんです。 そうしたら希望者が圧倒的でした。 私の娘も日本で生まれて母国語がおぼつかない。 だから、スクールをつくろうと決心したんです」

開校時の生徒は16人ほどだったが1年で倍増した。 本国から子どもを呼び寄せた親もいて、希望者は増える一方だという。「いまの建物では100人ほどしか収容できませんし、遠くからは通えない。 でもネパール人は日本全国にいます。ゆくゆくは名古屋や福岡にも分校をつくりたいと考えています」

現在、在日ネパール人は約3万2000人。 シュレスタさんの話では十数年前は4000人ほどしかおらず、ここ最近急増したそうだ。 そこには2006年に内戦が終結して国が民主化へと動き出していることが影響していると思われる。

「民主化されて自由が増えました。海外からの投資が受けられやすくなり、国を出て勉強したり働くことを希望する人も以前より多くなっています。 出稼ぎがいいか悪いかはわかりませんが、いまは海外からの送金が国のGDPの25%以上を占めています。 送金によって経済が支えられているんです」

新政権は発足したものの憲法ができていないし、雇用状況もよくはない。 その中で海外からの送金は国民の生活水準を上げ、その資金を元にした新規事業の増加にもつながっている。 国が自立をするにも、出稼ぎは重要な資金源なのだ。だからこそ、日本にいる子どもたちに母国のことを学んで、将来を担ってほしい。 それがシュレスタさんの思いだろう。

「お母さんのつくったお弁当は美味しい?」

子どもたちに聞くと、とびっきりの笑顔が返ってきた。 いまでこそパスタやパンを日常的に食べるが、かつては日本もダルバート・タルカリと同じでごはんと味噌汁に、おかずがつくのが毎日の食事であった。 ネパールの食事も国が発展するに従い、もっと多様化していくかもしれない。 それでも味噌汁がそう象徴されるように、ソウルフードの多くは“おふくろの味”。スクールで食べるお弁当は、おふくろの味を受け継いでいく役割も果たしているのだろう。

ネパール食ー2

ダルバートの食べ方

それぞれの家庭やレストランによって、味付けや使われる素材は微妙に異なるが、ネパールの現地人向けの食堂やレストランでの平均的な価格は日本円にして50~200円くらいである。 食器には普通、金属製のものが使われ、一枚の皿にスープなどは別の器とともに盛られることが多い。 =概ね、レストランなどでは外国人向けにフォークやスプーンが出される=

本来の食べ方は、プレート上の各カレー惣菜を好みの量に分けてライスに盛ったり、最初から(途中でも)カレーすべてをライスにかけるなど好みの方法で食する。 あとは右手人差し指と薬指で中指をはさむようにして溝を作り、そこに右手指で適当に好みで混ぜあわせたやや一口分を掬い取り、プレート上で食べやすい分量に形成して親指で口に押し込む。

レストランや食堂などでダルバートを食べる際に、料理がなくなるとお代わりを持ってくるなどしてくれる場合があるが、満腹になったときは「プギョ」といえば、止めてくれる。

ネパール食ー3

 === 続く ===

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