民族のソウル・フード探訪 =088=

◇◆ 世界魂食紀行 ソウルフード巡礼の旅   ◇◆

【“NATIONA GEOGRAPHIC/日本語版(文=中川明紀・編集者)”に追記補講】

断食月、心身を癒やすイフタール料理 = 1/3 = ★

イフタールー1​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​ ​​​​​​​​​​​​​​

​​​​​​​​​ ​​​​​​ ​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​

「ラマダンは敗因ではない」

6月30日、FIFAワールドカップ ブラジル大会の決勝トーナメント1回戦でドイツに敗れたアルジェリアのゴールキーパー、ライス・エムボリの言葉だ。 イスラム教徒はラマダンに入ると、日中の飲食が一切禁止される。いわゆる、断食。イスラム教を国教とするアルジェリアは、6月28日に突入したラマダンによってゲームに影響が出たのではないかと言われていた。

もちろん、アルジェリアだけではない。 ナイジェリアやフランス、ドイツなど、決勝トーナメントに残った16カ国のうち6カ国にイスラム教徒の選手がいることが確認されている。 気温が30度を超す開催都市もあるなかで、一滴の水も飲まずに激しいゲームを繰り広げる。 その精神力は、原稿を書きながらポテトチップ一袋を軽く平らげる私には到底真似できない。

ラマダンとは一体、どのようなものなのだろう。 そう思った私は、東京・渋谷区にある東京ジャーミイに問い合わせた。 駐日トルコ共和国大使館に所属するモスクで、以前にトルコのソウルフードの話を伺ったところだ(前節参照)。 するとラマダンの期間中は、礼拝者に日没後の食事を振舞っているという。 イスラム教徒でなくてもいただけるというので、どのような食事なのか、ぜひ食べてみたいと思い、東京ジャーミイを訪ねることにした。

「ラマダンがどういう意味か知っていますか?」

応対してくれた東京ジャーミイの職員、下山茂さんが言った。 学生時代にイスラム教徒になったという日本人男性だ。「断食という意味ではないんですか?」と答えると、下山さんは首を振る。

「ラマダンとはイスラムの暦であるヒジュラ暦の9月のことです。 アラビア語で断食のことはサウムと言います。 ラマダンという言葉ばかりが有名になったため、断食をすることを“ラマダンをする”と言っていますが、正確な表現ではないんですよ」

てっきり、ラマダン=断食だと思っていました。 ちなみに、ヒジュラ暦の1年は西暦より10~12日短く、毎年時期が少しずつずれていく。 2014年のラマダンは6月28日~7月27日であった(月の観測によって開始日が判断されるので、地域ごとに日にちが異なる)。 下山さんの話を聞いている間、モスクには次々と礼拝者がやってきた。心なしか以前来た時よりもモスク全体から賑やかさを感じる。

「これからイフタールがあるので、たくさんの人が集まってくるんです」

そう教えてくれたのはオセン・マザーさん。 東京ジャーミイには国籍関係なく、多くのイスラム教徒が訪れる。マザーさんは車関係の仕事を営むパキスタン人だ。 「イフタール」という聞き慣れない言葉に首を傾げていると、マザーさんは話を続けた。

「イフタールには“断食を破る”という意味があります。 ラマダンの間、イスラム教徒は日の出から日没まで飲食をしません。つまり、日が沈んだ後にとる最初の食事のことを指すんです」

おお、今日の目的の食事をイフタールというのか。東京ジャーミイでは6年ほど前から、ラマダンの間は毎日イフタールを提供しているという。 そして、マザーさんはその1カ月間、仕事を休んでイフタールの手伝いにボランティアできているそうだ。

イフタールー2

ラマダーン(またはラマダン)は、ヒジュラ暦の第9月。 この月の日の出から日没までのあいだ、イスラム教徒の義務の一つ「断食(サウム)」として、飲食を絶つことが行われる。 「ラマダーン」を断食のことと誤って捉える人も少なくないが、ラマダーンとはあくまでもヒジュラ暦における月の名である。 この断食の習慣は、624年、マッカの大規模な隊商をムハンマドが300人ほどの当時の信者全員と共に襲おうとし、それの阻止にやってきたマッカの部隊を返り討ちにできたことを神の恩寵と捉え、記念したことに始まる。

イスラム暦は純粋な太陰暦で閏月による補正を行わないため、毎年11日ほど早まり、およそ33年で季節が一巡する。 そのため「ムスリムは同じ季節のラマダーンを人生で2度経験する」と言われる。

ラマダーン月の開始と終了は、長老らによる新月の確認によって行われる。雲などで新月が確認できなかった場合は1日ずれる。 夏に日が沈まない極地地方にあっては、近隣国の日の出・日没時間に合わせるなどの調整も図られる。

ラマダーン中には世界中のイスラム教徒が同じ試練を共有することから、ラマダーンはある種の神聖さを持つ時期であるとみなされている。

ラマダーンの期間中は、Ramadan Kareem(ラマダーン・カリーム / 「恵み多い月ラマダンおめでとう」)という挨拶が使われる。

イフタールー3

 === 続く ===

前節へ移行 ; https://thubokou.wordpress.com/2017/06/02/

後節へ移動 ; https://thubokou.wordpress.com/2017/06/04/

 ※ 下線色違いの文字をクリックにて詳細説明が表示されます ⇒ ウィキペディア=に移行
*当該地図・地形図を参照下さい

—— 姉妹ブログ 一度、訪ねてください——–

【疑心暗鬼;民族紀行】 http://bogoda.jugem.jp/

【浪漫孤鴻;時事心象】 http://plaza.rakuten.co.jp/bogoda5445/

【閑仁耕筆;探検譜講】 http://blog.goo.ne.jp/bothukemon

広告

コメントを残す

以下に詳細を記入するか、アイコンをクリックしてログインしてください。

WordPress.com ロゴ

WordPress.com アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Twitter 画像

Twitter アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Facebook の写真

Facebook アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Google+ フォト

Google+ アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

%s と連携中