民族のソウル・フード探訪 =090=

◇◆ 世界魂食紀行 ソウルフード巡礼の旅   ◇◆

【“NATIONA GEOGRAPHIC/日本語版(文=中川明紀・編集者)”に追記補講】

断食月、心身を癒やすイフタール料理 = 3/3 = ★

​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​ ​​​​​​​​​​​​​​イフタールー1

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  さて、胃をならしたところで、イフタールの食事をいただく。 料理は日によって異なるそうで、この日はバターピラフとトマトスープ、鶏肉と野菜の煮込み、それからパンとバナナだった。 煮込みはクミンなどのスパイスが使われたカレー風味で、トルコで最近流行りの料理だそうだが辛くはない。 いずれの料理もやさしい味わいで身体にスーッと入り込んでいく。

「ふだん、私たちは1日3回食事をします。 だから、ひもじさをあまり感じない。 でも断食をすることで食べ物のありがたみがよくわかる。 ラマダンは食べ物があることを神に感謝する1カ月なのです」

一応、モスクに入ってからは飲食を控えていた。 たった数時間我慢しただけの私ですら身体に染み入る感覚があるのだから、断食をしていた人はなおさらのことだろう。 ハーンさんはラマダンの断食にはさまざまな意味がある、と話を続ける。

「世界には食べるものがなくて辛い思いをしている人がたくさんいます。 断食はその気持ちを理解することができる。 だから、困っている人を助けようとする気持ちが生まれるのです。 食べなかった食事のぶんを喜捨(寄付)する、施しの月でもあるんですよ」

子どもや老人、妊婦・授乳中の人、病気の人といった体力的に難しい状態・状況にある人の場合、また、時差をともなう旅行者は、時期をずらして万全な状態の時に断食を行うことができる。 実際、ワールドカップでも延期することを選んだ選手がいた。 寄付は誰もが行うものだが、老人のように今後も断食が難しい場合は、寄付が断食の替わりとなるという。

さらに、胃と腸を休めることで身体をリセットする。 穏やかに過ごして心を強くする日々でもある。 功徳を積み、心身を鍛える月なのだから、エムボリ選手が「敗因ではない」というのも当然のことだった。

「ラマダンの断食はイスラム教の5つの義務である、信仰告白、礼拝、喜捨、ラマダンの断食、メッカ巡礼のひとつです。 なぜ、断食がラマダンに行われるのかというと、コーランの最初の啓示がムハンマドに下された神聖な月だからです」

そう教えてくれたのは、日本ムスリム協会の徳増公明会長だ。 「つまり、断食をして心を落ち着かせ、コーランをよく読んでイスラムの精神を見直すための時間なのです。 仕事の時間も短縮されるんですよ。 いまは豊かな時代なので、本来の意味から少し離れて、イフタールで豪華なパーティーをしたり、ごちそうを食べたりすることを楽しむ人も多いんですけどね」と笑う。

ただ、みんなが集まって食事を囲むこと自体は、とても大事なことだと徳増さんは言う。 「ラマダンの時は家族との距離がすごく縮まるんです」と話すのは、エジプト人のイブラヒーム・ガマールさんだ。 以前、エジプトのソウルフード(前期参照)について話してくれた彼と、この日偶然、東京ジャーミイで再会した。

「ラマダンの間はイフタールの料理をつくる母を手伝って、父が仕事から帰ってくるのをみんなで待ちます。 いつもより一体感が増して家の中がすごくいい雰囲気になるんです。 モスクに来てみんなとイフタールを囲むのも同じで、仲間たちと気持ちが共有できる。だから、ラマダンが来るのがすごく楽しみなんです」

東京ジャーミイにいたイスラム教徒の人々が口を揃えて楽しみだという意味が少し理解できた気がした。 ホールを埋め尽くす人たちはみんな笑顔で食事をし、会話を楽しんでいる。 再び口にしたイフタールの料理は、やっぱりやさしい味がした。

イフタールー2

トルコ料理の前菜

コース料理では、メゼと呼ばれる前菜として、オリーブの塩漬け、チーズなどの乳製品や、エズメジャジュックドルマやサルマ、ビョレクなどが出される。 フムスもエズメの一つで、トルコではノフット・エズメスと呼ぶこともある。 数種の前菜をつまみながらラクを飲むことも多い。

また、サラダも食されている。 有名なものではチョバン・サラタスという、トマト、キュウリ、パセリ、青唐辛子、タマネギなどをオリーブオイルで和えたものである。

トルコ料理の肉料理

肉についてはトルコ自体がイスラム教国であるため豚肉はほとんど用いられない。 また、トルコの気候が肉牛の飼育に適していないので牛肉もあまり使われず、もっぱら羊肉や鶏肉が使われる。

ヒツジやニワトリの肉を使った焼肉料理はケバブ と言い、串焼きにしたシシュケバブ、ヨーグルトを添えて食べるイスケンデルケバブ挽肉を用いたアダナケバブドネルケバブに似た調理法のジャーケバブなどが有名である。 欧米や日本でバーベキューなどで作る長串に刺した料理全般をシシカバブと呼ぶのはこれらの名前に由来する。

屑肉を固まりにし、回転させながら焼いたものを削ぎ切りしたドネルケバブは近年トルコ移民によってドイツなどヨーロッパに伝えられて身近なファーストフードとなり、19909年代の後半からは日本でも屋台が見られるようになり始めた。 ケバブに対し、挽肉を使ったハンバーグのような料理はキョフテ という。 ムサカはナスやジャガイモ、カリフラワーとトマトを挽肉と煮込んだキャセロール風の料理である。

トルコ料理の魚料理と主食

海に近い地域では魚もよく食べられ、魚肉のシシュケバブ、ハムスィやイスタンブーエウのサバのサンドイッチが有名である。黒海沿岸には、ハムスィ入りのバクラヴァを作る地域もある。 鰓から骨と肉を抜いたサバに詰め物をしたウクスムル・ドルマスは主菜、ムール貝に詰め物をしたミディエ・ドルマスはメゼとして食べられる。

イフタールー3

 === 続く ===

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