民族のソウル・フード探訪 =104=

◇◆ 世界魂食紀行 ソウルフード巡礼の旅   ◇◆

【“NATIONA GEOGRAPHIC/日本語版(文=中川明紀・編集者)”に追記補講】

琴欧州親方を支えた故郷の味 = 2/3 = ★

​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​郷土料理ー1

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 ヨーグルトがつくられ始めたのは紀元前5000年頃、東地中海からバルカン半島、中央アジアの辺りだとされているが、その効用が本格的に研究されるようになったのは19世紀のこと。 1900年代初頭には、ロシアのノーベル賞微生物学者イリヤ・メチニコフがブルガリアのある地方に長寿の人間が多いことに着目し、その理由がヨーグルトを大量に食べているからだとしてヨーグルトを食べることを勧めたという。

そして、そのヨーグルトの健康効果を裏付けたのがブルガリア人の医学者スタメン・グリゴロフだ。 1905年に伝統的なブルガリアのヨーグルトに3種類の乳酸菌が含まれていることを発見したのである。 その後、WHOとFAOによって設置された国際政府機関のコーデックス委員会がそのうちの2種類、ブルガリア菌とサーモフィラス菌の発酵作用でつくられたものをヨーグルトと定義づけた(現在の定義では菌の種類が増えている)。

商品名どころか必須菌種に国名が入っていた。 ブルガリア人とヨーグルトの結びつきは相当に強い。 もちろん、ヨーグルトを使った料理もいくつもあるそうだ。 私もヨーグルトは毎朝食べるがせいぜいジャムをいれる程度。ヨーグルトの料理とはどのようなものなのか、親方馴染みのブルガリア料理店「ソフィア」でいただいてみることにした。

「僕もヨーグルトは毎朝食べています」と言うのは、ソフィアで働くブルガリア人のヨルダン・クラシミロフ・マルコフさん。 来日して8年になるというヨルダンさんに、さっそくヨーグルト料理を尋ねた。

「一番有名なのはタラトルですね。夏は欠かせません」

タラトルとはヨーグルトに水や牛乳などを混ぜた冷製スープで、確かに琴欧洲親方もよく飲むと話していた。 「一般的にはニンニクとキュウリ、クルミが入っています。 ブルガリアの夏は40度を超す暑さですが、さっぱりしているので食が進むし、夏バテにもいいんですよ」とヨルダンさん。 ブルガリア人はみんな夏になると毎日のように飲むという。

出されたタラトルはヨーグルトよりサラサラしていた。 塩気のあるさっぱりとした味でニンニクがほのかに香り、キュウリの食感とクルミの甘みがほどよい。 消化もよさそうで、確かに暑い夏にはぴったりだ。 親方は店に来ると2杯飲むこともあるそうで、ヨルダンさんも「お昼に飲むことが多いですが、ブルガリアでは大量につくってビールのジョッキに入れて飲んでいましたよ」と言って笑う。

いっぽう、冬によく食べるのはスネジャンカという料理だそうだ。 これは店のマネージャーである伊藤和志さんが説明してくれた。 「いわゆる水切りしたヨーグルト。食品用さらしやキッチンペーパーで包んで寝かせて水分をとばすことで、クリームチーズのような濃厚でまろやかな味になるんです」

つくり方はタラトルとよく似ていて、細かく刻んだキュウリとニンニク、クルミなどを混ぜて塩・コショウで味を調えてできあがり、と伊藤さん。 地方や家庭によって酢やマヨネーズを入れたりするそうだが、タラトルとの大きな違いは水分だけのようだ。

それにもかかわらず、味はだいぶ違った。ねっとりとしていてぎゅっと濃縮されたコクがある。 ただ、ヨーグルトの酸味はしっかりあって、さわやかな風味が舌に残る。 「スネジャンカをつまみながらワインやブランデーを飲むのが最高なんです」とヨルダンさん。 店には在日ブルガリア人もくるが、日本人が1皿を数人でシェアするのに対し、彼らは1人1皿注文するのが普通らしい。

郷土料理ー2

ブルガリアのヨーグルト

ブルガリアで作られてヨーグルトいるいるは世界屈指の畜産品と言われる。 ブルガリアの研究者たちは、ブルガリアのヨーグルトの固有性はブルガリア菌(Lactobacillus delbrueckii subspecies bulgaricus)とサーモフィラス菌の共生による特有の酸味と風味である、と主張している。 同国を含むバルカン半島はヨーグルト発祥地の候補であり、20世紀末の同国のヨーグルト消費量は一人あたり年間30kg以上にも達する。

ブルガリアでは紀元前4000年頃からトラキア人酸乳を作り始め、その文化がスラブ人ブルガリア人に引き継がれてヨーグルト作りが行われてきた。 近代以前は各家庭で製造されていたが、1959年に州の政府機関が乳加工品の生産管理を始めたことなどをきっかけに、小売店で購入する工業製品が主流となった。

その後、1991年の市場経済導入によって共同農場の枠組みが崩れた際に生乳の生産管理技術が低下し、乳酸菌株の活用にも支障を来すようになり、ヨーグルト消費量が大きく低下した。 2007年のEU加盟以降は廉価な粉乳が輸入され、ヨーグルト製造に用いられている。 また、2000年代以降は従来の無糖タイプに加え、フルーツ入りやドリンクの製品も普及している。

郷土料理ー3

 === 続く ===

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