民族のソウル・フード探訪 =105=

◇◆ 世界魂食紀行 ソウルフード巡礼の旅   ◇◆

【“NATIONA GEOGRAPHIC/日本語版(文=中川明紀・編集者)”に追記補講】

琴欧州親方を支えた故郷の味 = 3/3 = ★

​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​郷土料理ー1

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 タラトルもスネジャンカも日常的に食べる家庭料理だそうだ。 「それじゃ、ヨーグルトを切らすわけにはいきませんね」と言うと、そもそもブルガリアではヨーグルトは家庭でつくるものだとヨルダンさんは話す。

「もちろん、ヨーグルトのメーカーや種類もいろいろあります。 でも、自分でつくる人が多いですね。だいたいどの家庭の冷蔵庫にも手作りのヨーグルトがありますよ。 ブルガリアでは牛だけではなく、羊や山羊の乳でもヨーグルトをつくります。 一番貴重なのは水牛のヨーグルト。 固めで味も濃厚なんです」

僕はあまりつくったことはないけれど、と言いながらヨルダンさんはつくり方を教えてくれた。  約40度に温めた家畜の乳にヨーグルトかヨーグルト種菌を混ぜて、温度を保ちながら半日から1日置いておけばできるという。 しかも、ブルガリアは農業国であり、都市部以外ではヨーグルトをつくるために家畜を飼っている家庭も多いそうだ。

「僕はトルコよりのトラキア地方、ノヴァ・ザゴラの出身です。 両親は電気屋を営んでいましたが、田舎なので畑も持っていて休みの日は農業をしていました。 牛乳は購入していたけれど、僕が小さい頃は飼っている羊の乳でヨーグルトをつくっていましたね。 高校生になると一番美味しいからと山羊を飼い始めました。 山羊の乳はクセがあるけれど薄くて人間の母乳に近いと言われているんです」

山羊は多いときで3匹飼っていて、乳搾りとしての役目を終えたら食べてしまったという。 それがブルガリアの地方の暮らしなのだ。

「ブルガリア人にとってヨーグルトは日本で言う味噌のようなとても身近なものですね。 タラトルはいわゆる味噌汁です」とヨルダンさん。 それを聞いて、琴欧洲親方が「ヨーグルトは日本人の米くらい大事なもの」だとして、こう話してくれたのを思い出した。

「いまでもヨーグルトを食べると故郷のブルガリアを思い出して心が落ち着いたりします。 場所中は妻にタラトルなどのブルガリア料理をつくってもらうと、よい気分転換になりました。 相撲は普段の稽古も大切ですが、心身にバランスが良い食生活も同じくらい大切。 そのことも親方として若い力士たちに伝えていきたいです」

ブルガリア人の身体と心を支えてきたヨーグルト。そういえば、最近の市販のプレーンヨーグルトには粉砂糖が入っていない。 本来の味を楽しもう、ということなのだろうか。 いままでなんとなく食べていたが、これからはあの甘酸っぱさをもう少し味わって食べようと思う。

郷土料理ー2

伝統的な製法、日本との関わり

一年の中で最初にヨーグルトを作る日は、聖ゲオルギイの日(5月6日)と定められており、家畜の健康と豊穣を願う行事の一つとして行われる。 この日に初めて家畜を搾乳し、セイヨウサンシュユの葉の朝露に含まれる乳酸菌などをスターターとして発行させる。

こうして作ったヨーグルトを家族や客人と一緒に食べ、祝日を祝う[。 その後は、このヨーグルトの一部をスターターとして新しい乳に加え、ヨーグルトを作り続ける。 夏の終わりとされる聖ディミタルの日(10月26日)まででヨーグルト作りは終わると、翌年までは作りおいたヨーグルトを食べる。

伝統的な製法では素焼きの壺が使われるケースもあり、煮立ててから人肌程度に冷ました牛乳ないし羊乳を壺に入れてスターターを加える。 これを布で包んで保温して放置すると、牛乳の水分が素焼きの壺に吸収されて表面から蒸発していくため、乳が濃縮されるとともに気化熱によって壺の内部が通常の発酵より低い37度程度に保たれる。 このような温度条件では発酵に長時間を要するデメリットがある一方で、ヨーグルトの組織がなめらかになるというメリットがある。

1960年代半ばに、園田天光は駐日ブルガリア大使の妻との交流を介して、本場の自家製用の種を使ったヨーグルトの作り方と利用法を習い、当時日本では馴染みの薄かったプレーンヨーグルトを上流階級の主婦層に普及させる活動を行った。 園田の活動により1960年代後半には官僚の家庭でヨーグルトを作ることがブームとなり、昭和天皇にも評価された。園田はメディアを通じてブルガリアヨーグルトの健康への効果を知らしめ、一般家庭にもその関心が広まり、ヨーグルトの消費が高まって行った。

郷土料理ー3

 === 続く ===

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