睡眠の都市伝説の真意 =010=

☆彡 睡眠の都市伝説を斬る =三島和夫・睡眠研究者= 彡☆

【この企画は“Webナショジオ・連載/睡眠の都市伝説を斬る”に追記補講した】

譲れない睡眠、「必要睡眠量」を測る =3/3= 

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小手先のテクニックで睡眠不足は補えない

多くの実験ボランティアで必要睡眠量を測定してみると面白い事実が見えてきた。 例えば、20代~30代の男性ボランティアを調査したところ、普段の睡眠時間には3時間程度の開きがあった。 一方で彼らの必要睡眠量を調べて見るとその個人差は2時間。 すなわち睡眠時間のばらつきの2/3は必要睡眠量の差だった。

残り1/3(1時間)が環境要因によって生じていた。 一般的に睡眠時間の違いは環境の影響が大きいと思われてきたが、実際には必要睡眠量の役割が大きいことが分かったのだ。 睡眠遺伝子たちよ、結構頑張っているではないか。 体が求める睡眠時間に大きく逆らって生活することは難しい。 小手先のテクニックで睡眠不足を補うことは出来ないのだ。

もう少し踏み込んで、睡眠時間の長短に関わる具体的なメカニズムとは何であろうか?幾つかの有力な神経伝達物質の遺伝子多型が睡眠時間に関連していたとか、ある種の時計遺伝子の突然変異を有していると短時間睡眠になるとか、ユニークな研究結果が報告されているが未だ解明の道のりは遠い。 ただ間違いなく言えるのは、細胞、ホルモン、自律神経、代謝など多岐にわたる生体機能が総動員されて睡眠時間は決定されており、各パーツの機能の違いが積み重なって睡眠時間の大きな個人差が形作られているという点だ。

紙幅の関係上、一例だけ挙げよう。睡眠に深く関わるホルモンである副腎皮質ホルモン・コルチゾールや成長ホルモンを一卵性双生児で測定してみると、一見して分泌パターンが非常に似ていることが分かる(下図)。 顔だけではなくホルモン分泌までソックリとは、実に遺伝子の力を感じるではないか。では二卵性双生児ではどうか。遺伝子の共有度は兄弟と同じなのでそれなりに似ているものの、一卵性双生児に比べて細かい違いが目立つ。 この違いの1つ1つが睡眠時間の個人差につながっているのだ。

冒頭で慢性的な睡眠不足は深刻な“現代病”だと申し上げた。 「睡眠不足は自己責任であって病気じゃないだろう」「自己管理がなっておらんからだ」などという反論もあろうかと思うが、いやいや、必ずしもそう一方的に断ずることはできない。 多忙な現代社会では、体質的に長時間睡眠が必要な人はそれだけである種のハンディキャップを背負っていると言えまいか。 同じ分量の仕事や家事をこなし、同じ就床時間を確保しても、必要睡眠量が長いが故に十分な疲労回復ができず心身の不調に陥っている人がいれば、それは立派な“生活習慣病患者”である。遺伝的に糖尿病リスクを抱えている人が周囲と同じ食習慣を守っていても発症してしまうのと何の違いがあろうか。前者は精神力で克服できますか?

かように睡眠時間というのは気合いだけでは御しがたい“体質”なのである。 当初の予想よりも小さいとは言え、必要睡眠量2時間の開きがもたらすインパクトは大きい。 1時間通勤の往復分、映画なら丸々一本、麻雀なら半チャン2回はこなせる時間だ。 今回解説したように、必要睡眠量の個人差がどのようなメカニズムで生じるのかその詳細は明らかになっていない。

しかしこれまでの研究から、少なくともその一部は私たちの祖先が自然淘汰をくぐり抜けるためにとった生き残り戦略に関連していることが明らかになっているらしい。 その戦略は睡眠の長さや深さ、そして加齢変化にも関係し、また快眠スキルのヒントにもなっているのだ。 これは次回のテーマとしたい。

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学力にも大きく影響する子供の睡眠不足、子供の成長に必要な睡眠時間はどれくらい?

就寝中は血液の循環が良くなり全身に酸素が運ばれます。しかし、睡眠不足になると血液の流れが滞りやすくなり、体が冷えて基礎代謝が低下し、エネルギー消費の少ない、つまり太りやすい体質になる可能性が高くなります。さらに、睡眠不足の状態は食欲を抑制するホルモンを減少させ、食欲を増進させることが知られています。

子供の体を健康に成長させるために必要な成長ホルモンは、夜10時~2時の間に盛んに分泌されますが、睡眠不足になると、成長ホルモンの分泌が減少。筋肉や骨の発達が妨げられて身長が伸びなくなったり、抵抗力が落ちて風邪をひきやすくなります。睡眠不足は結果として学力の低下を招いたり、学校や課外活動でもトラブルを起こしたりする原因になったりしているのです。

目に見えない現象だけに、まさか睡眠不足がそうした事態を引き起こしているとは親も学校の先生も気付きにくいのが厄介な所です。

子供の睡眠不足によるおもな弊害として、 ■肥満になりやすい ■イライラしてキレやすくなる ■疲れやすい ■集中力、注意力が散漫になる ■成長ホルモンの分泌が減少する 等々が言われる。 睡眠は身体を休めるだけでなく、ヒトの知的活動を支える中枢基幹、大脳を休ませる役割を担っています。 特に心身とも発達過程にある子供たちにとっては何より重要な事と言っても大げさではありません。ではいったい__子供の睡眠時間はどれくらいあれば良いのでしょうか。

上の表は、「小児期に必要な標準睡眠時間」を年齢別に記したものです。 小学5年生(11歳)で9時間半 中学1年生(13歳)で9時間15分 / 中学3年生で(15歳)8時間45分 / そして体格も心の成長もだいぶ大人に近づく / 高校2年生(17歳)でも8時間15分 の睡眠時間が理想とされています。

しかし実際、子供たちの睡眠時間はどうなっているのでしょうか。 下のデータをご覧下さい。総務省が平成23年に実施した社会生活基本調査によれば /  小学生の平均睡眠時間(2011年)は8時間41分 / 中学生は7時間46分 / 高校生ではわずか6時間54分しかありません。

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 === 続く ===

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