睡眠の都市伝説の真意 =015=

☆彡 睡眠の都市伝説を斬る =三島和夫・睡眠研究者= 彡☆

【この企画は“Webナショジオ・連載/睡眠の都市伝説を斬る”に追記補講した】

眠気に打ち克つ力 その一 《睡眠不足に強いのは勝ち組か?》 =1/2= 

​​ ​​​​睡眠研究=1

 今回のテーマは睡眠時間の個人差をもたらす第3の要因「眠気(睡眠不足)に打ち克つ力」である。 なんとも響きのよいタイトルだが褒めそやしているのではない。 なまじ睡眠不足に耐える力があると、むしろ健康上、社会生活上の問題が生じやすいため注意が必要なのだ。 これから何回かに分けて日本人の睡眠不足の現状とそれがもたらすリスクについてご紹介する。

これまで何度かご説明したように、適正な睡眠時間は遺伝(体質)や環境(ライフスタイル)のバランスの中で自ずと決まってくる。 しかし交通標識と同じで、それを守るかどうかは別問題だ。 横断歩道ではきっちり信号を守るのに、睡眠についてはつい赤信号を見落としてしまう、時にはえいやっ! とみんなで渡ってしまう、それが日本人である。

睡眠時間の疫学調査を行うと3時間台から10時間台まで7時間以上の大きな開きがみられる。 一方、健康生活を送るために体が最低限必要としている睡眠時間の個人差は2時間程度である。 これに発達、加齢、性差、季節、ライフスタイル(活動量や食事など)の影響を合わせても到底7時間には及ばない。

では個人差の残りの部分はどうやって生まれるのか。答えは単純である。 「眠くても寝ない」人が多数いるためである。怒らず読み進めていただきたい。 「身長の個人差の一部はつま先立ちです」と言ってるようなもので、ムッとされるのも当然です。 しかし実生活でみられる睡眠時間の個人差のかなりの部分は、この眠気に打ち克つ力の個人差で生じているのである。 理論的には「眠くないのに寝る」人もいて不思議はないが、実数は少ない(と思われる)。時折やる”ふて寝”はこれには該当しない。

それにしても人間とはなんと自虐的な生き物であろうか。 体が必要とする睡眠時間を削ってまで活動するのは他の動物には見られない人間特有の”異常”行動である。 この睡眠時間のフレキシビリティが24時間社会を支えているとは言え、“持続可能性”という視点で見ると決して褒められた行動ではない。 それは週末の寝だめ、いや借金返済の実態を見れば一目瞭然だ(図)。

この図はNHK生活時間調査(2011年)のデータから算出した日本人の平日と休日の睡眠時間の違いを示している。 じーっと眺めると実に味わい深い。私などはこの図を肴にして日本酒3合は楽しむ自信がある。 データを片手にチビチビやっていると、我ながらつくづく変わり者だと思う次第である。

まず、国民全体が土日に思いっきり寝だめしているのが目に飛び込んでくる。 日曜より土曜に寝だめが短いのは週休1日の人が引き下げているからで、そのような人は日曜だけで借金を返済するしかなく大変そうである。 そもそも週休2日であろうが1週間分の借金を本当にチャラにできるか実に疑わしい。 私たちが行った研究によれば確かに2日も寝だめすれば眠気は感じなくなるが、ストレスホルモンの増加やインスリンの低分泌など体が溜め込んだ睡眠不足の悪影響を解消するには不十分であった。 そして週明けからまた借金を始める。まるで日本の国債のような状況である。

睡眠研究=2

=資料・文献 (The Wallstreet Jouurnal)

技術の進歩は止まらない。日々の仕事はきついし、やるべきことはどんどん増えていく−。このような状況では、少なくとも5000万人の米国人が寝不足だと訴える(米疾病予防管理センターのデータ)のも無理はない。しかし、週末に平日より長く寝ることで、平日の睡眠不足を埋め合わせられるのだろうか。バージニア州シャーロッツビルにあるマーサ・ジェファーソン病院睡眠医学センターの医学責任者で睡眠の専門家であるW・クリストファー・ウィンター博士に聞いた。

Sleep Binge(どか寝)

一般的に毎晩8時間寝ることが推奨されているが、多くの人はそうしていない。月曜日から金曜日になるまでに、こういった人々の睡眠不足は蓄積される。人々は土曜日の朝に数時間長く寝ることが、失われた睡眠を「取り戻す」のに役立つと思っているが、それは正しいようだ。ウィンター博士は、「その限界は分からない。恐らく数日だろうと思われるが、研究によると、短期的に後から取り戻す睡眠には効果がある」と述べた。しかし、「わたしが15年前の研修生時代に徹夜をして失った睡眠は、もう取り返せない」という。

Sleep Banking(寝だめ)

最近のデータによると、夜更かしする前に寝だめすることで、その後の睡眠不足を実際に相殺できることが示されている。同博士は「例えば、ある特定の日に出産することが分かっているのなら、その前の数日間1日10時間寝ることで、出産時に元気でいられる」と述べる。事前に計画さえすれば良いのだ。

睡眠研究=3

 === 続く ===

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