民族のソウル・フード探訪 =120=

◇◆ 世界魂食紀行 ソウルフード巡礼の旅   ◇◆

【“NATIONA GEOGRAPHIC/日本語版(文=中川明紀・編集者)”に追記補講】

★  つぶすほどに美味しい イラン伝統料理 = 3/3= ★

​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​郷土料理ー1

​​​​​​  「イランは米が主食ですが、アーブグーシュトはナンと食べるのが決まりです」。そう言って、エマミエさんは平べったいパン(ナン)を小さくちぎって、そこへスープをかけた。ここにペースト状の具を加え、一緒に食べるのだという。もはや見た目は離乳食。フタをあけたときの色味がきれいだっただけに、少しもったいない気がするのだが、それは私だけだろうか。ただ、スープにひたしたナンにペーストをつけて食べるものと考えれば、「急な来客でも(ナンをひたすスープに)水を足して増やせばもてなせる」という言葉も、なんとなく頷ける。

しかし、一口食べて驚いた。口当たりはまろやかでやさしく、肉の旨み、野菜の甘みや酸味が複雑に交じり合ってなんとも滋味深い。熱々の料理ではないのに、体の中からじんわりとあたたかさが広がる。具が固形でそれぞれ食べていたら、ここまでの味わいはでないだろう。「冬でもあたたまる、体にいい料理なんですよ」とエマミエさんが微笑む。

それにもかかわらず、だ。ナスリンさんが2人の息子さんに取り分けたアーブグーシュトは具をつぶしていないものだった。長男のレイザさんに尋ねると、「つぶしてないほうが好きなんです。それぞれの具が味わえるから」とのお答え。まあ、それもわかる。

1998年にエマミエさんが日本で会社を設立し、2001年に家族で来日した。ナスリンさんのつくる一番好きな料理を「ラザニア」という子どもたちは、日本での生活のほうが長い。だから、私と同じ違和感を持つのだろうか。

「イランはアメリカと国交がないのでマクドナルドやスターバックス コーヒーがないけど、僕はイランにもあればいいのにな、と思います」とレイザさんは言う。「実はイランの若者の多くがそう思っているんですよ」とエマミエさんも話す。「私は年に何度かイランに行きますが、多くの若者が欧米文化を取り入れようとしているのを感じます」

昨年5月にイランの女性たちが、義務付けられているヒジャブ(頭を覆うスカーフ)を脱ぎ捨てて女性の自由を求めたことがニュースになっていたのを思い出した。「そこまで極端ではないけれど、ヒジャブをオシャレ感覚で被る子は増えています」とエマミエさん。いま、イランとアメリカの関係が改善しつつあるともいわれているが、それを望む若者たちの声を聞くという。

だからといって、イランの文化を否定するわけではない。「この間、レイザとイランの砂漠地帯に行ったんです。そこで、ラクダ肉のアーブグーシュトを食べました。砂の中に鍋を埋めてフタの上で火を焚くんですが、このときは通常の食べ方なのに全部食べたんですよ」とエマミエさん。「土地とつくり方が違うからでしょうか。すごく美味しかった」とレイザさんが笑う。

若者は正直でまっすぐだ。一時、見られなくなったディーズィースタイルのアーブグーシュトがファストフードとして人気を博しているように、伝統を受け継ぎながらも新しいものを取り入れる、そんなイランの変化に期待したい。

郷土料理ー2

イランの伝統料理・その主食

イラン料理の主食はナーン(nān)であり、一般家庭でナーンが焼かれることはあまり無く、専門の店舗やスーパーマーケットでナーンが購入されている。ナーンには様々な種類があり、細長い三角形のサンギョク、紙のように薄いラヴァーシュ)、堅く厚みがあるバルバリーなどがある。家庭でピザを作る場合、バルバリーなどのナーンがピザの生地に代用されることもある。菓子パンもナーンに分類されるが、「ナーネ・ファーンテズィー」と呼ばれて他のナーンとは区別される。

イランでは米も食べられており、主に長粒種が栽培されている。イランの国土の大部分を占める乾燥地帯では小麦粉から作られるナーンが主食とされていたが、20世紀末からイランでの米の消費量が増加している]。イランの経済発展に伴って米食の消費は増加し、ギーラーン州とマーザンタラーン州が主要な米の産地となっている。

イラン料理での米の調理法は湯取りによるアブケシュ(ābkesh)と、炊き干しによるカテ(kate)の2種類があり、「チェロウ(chelo)」はābkeshで調理された白米、あるいは調理された白飯全般を指して使われる。米はチェロウとカテ以外に、もてなしの料理である炊き込みご飯のポロウ(polo、ピラフ)などに調理して供される。キャバーブ(串焼きの羊肉)にチェロウを添えたチェロウキャバーブはイランの代表的なファーストフードとして知られ、専門の店(チェロウキャバービー)で出される。チェロウを作る際にできたおこげ(タフ・ディーグ、「鍋の底」の意)は、来客者をもてなす時に出される。より美味しいタフ・ディーグを作るため、チェロウを炊き上げる時にラヴァーシュなどの薄いナーンを鍋底に敷くなどの工夫がされている。

イランではハーブとライムで風味を付けたお粥のシュルバも食される。また、サフランライスのプディング(sholezard)などの米を使ったデザートも作られている。

イランのサンドウィッチは、コッペパン、フランスパンの中身をくりぬいて具を詰めるスタイルが採られている。具にはソーセージ、ハム、スパゲッティ、羊の脳、野菜などが用いられ、店でサンドゥヴィーチを頼む時には自分の好みの具を注文する。

郷土料理ー3

 === 続く ===

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