睡眠の都市伝説の真意 =020=

☆彡 睡眠の都市伝説を斬る =三島和夫・睡眠研究者= 彡☆

【この企画は“Webナショジオ・連載/睡眠の都市伝説を斬る”に追記補講した】

眠気に打ち克つ力 その三 《知らぬ間に膨れ上がる寝不足ローンにご注意》 =2/2= 

​​ ​​​​睡眠研究=1

 4時間睡眠ともなると2週目には3晩連続の徹夜と同程度にまで低下する。 筆者も2晩連続の徹夜しか経験が無いので、3晩連続の徹夜でどのような状態になるのか想像がつかないが、上司は言わずもがな、推しメンのまゆゆの前ですら寝てしまうことは間違いない。

普段の生活では週末に借金返済をすることで睡眠不足の悪影響を軽減しているわけだが、忙しくて週末の休みが取れないときにどうするか。 目の前の仕事をフラフラになりながらやるか、睡眠を確保して能率よく片付けるか、その選択は個人の考え方次第である。 キレイ事を言っていられない場合も多いだろう。 しかし、危険作業や運輸など眠気や集中力低下が人命に関わる仕事に従事している人々については後者の発想であるべきだ。 実際、過密勤務のバス運転手が引き起こした痛ましい事故も記憶に新しい。

この研究結果では、眠気の強さと認知機能の低下との間に異なったトレンドがあることにも注意する必要がある。眠気は一定程度強くなると頭打ちになるが、認知機能は睡眠不足の蓄積に応じてドンドン低下するのだ。 このような眠気と認知機能の乖離こそがヒューマンエラー(事故)の大きな原因となる。

通常我々は眠気の有無を睡眠不足のセンサーとしているため、下手に眠気だけが軽減されるとかえって事故が起こりやすいのだ。 これに関連して筆者らはある実験を行ったことがある。 若者に徹夜をさせ、深夜から明け方にかけて細かな注意力を必要とする幾つかの認知機能テストを何度も繰り返し実施したのだ。

若者には徹夜試験に2回に参加してもらった。 1回は静かにデスクワークをさせ、もう1回は定期的に眠気覚ましの軽運動や会話を許した。 その結果、眠気覚ましのあるセッションでは明らかに眠気は軽くなり気分も良好に1晩を過ごせた。 一方、静かに過ごしたセッションでは明け方の眠気を堪えるのが大変で、苦しい夜を過ごすことになった。この違いは経験的にもご納得いただけるのではないだろうか。

一方、認知機能テストの結果はと言うと、2つのセッションで全く違いは無かったのである。 眠気があろうがなかろうが、数字と記号合わせでケアレスミスを多発する、モニター上で動くターゲットを追跡しようとしても上手く捉えられないなど、いずれのセッションでも認知機能は明け方に向けて一直線に低下していったのであった。

では、コーヒーを飲んだ場合はどうだろうか。 カフェインは眠気を軽減するだけではなく認知機能の低下を防ぐという報告もあれば、いや認知機能は低下したままだというものもあるなど、残念ながら一定の結論は出ていない。 コーヒーの力を過信するのは禁物だろう。

今回の話のまとめである。 生活をしていれば十分な睡眠時間を確保できない時期もある。 睡眠不足によって判断能力やパフォーマンスが低下するのも避けがたい。 しかし、自分自身が睡眠不足に陥っている危険性を認識して、適切な予防策をとることは可能である。 運動やカフェインなどを使った一時的な眠気覚ましは事故防止の根本的な対処にならないことは是非ご記憶願いたい。

また、睡眠不足が慢性化している人は眠気をうまく自覚できなくなることが知られている。 たまに眠気が強くなるから自覚できるのであって、毎日眠気が強ければそのことに違和感を感じなくなるからだ。 居眠り運転も危機感が薄れた時に起こりやすいので要注意だ。

睡眠研究=2

=資料・文献 (The Wallstreet Jouurnal)=

睡眠不足のとき食べ過ぎてしまうのはなぜ?(1)

人はなぜ睡眠が不足すると不健康な食品を多く食べてしまうのか――。この悩ましい問題について研究が進んでいる。

学術誌「スリープ」に今月掲載された研究によると、睡眠が不足すると体重増加リスクが高まる仕組みの解明につながる新たなメカニズムが発見された。研究を行ったのはシカゴ大学の研究チームで、被験者14人が夕方の間食で摂取したカロリーを比較したところ、睡眠不足のときは1000カロリー近くに上ったが、十分な睡眠をとったあとは600カロリーにとどまった。また、睡眠不足のときは十分に睡眠をとったときと比べて2倍の脂肪を摂取していた。ビュッフェ形式の昼食でのカロリー摂取量はいずれの場合も変わらなかった。

この研究の筆頭筆者でシカゴ大学睡眠代謝健康センターの研究員エリン・ハンロン氏によると、睡眠不足の状態になると、報酬や快楽としての食物摂取に関係する内因性カンナビノイド・システムの働きが増大したという。

内因性カンナビノイド・システムは体内で生成される脂質で構成されており、血液で測定が可能。大麻を吸ったときにも働くシステムで、空腹感の原因と考えられている。

研究では14人の被験者に実験室で8.5時間と4.5時間の睡眠を4日間ずつとってもらい、それぞれ4日後に内因性カンナビノイドの1種である2-AG の値を計測した。その結果、24時間の平均値は同じだったが、睡眠時間が短いときのほうが最高値が高く、最高値に達するのも遅かった。

ハンロン氏によると、被験者は睡眠時間が短いときのほうが空腹感も食欲も強く感じたそうで、これと同じタイミングで内因性カンナビノイドの数値も増加したという。  ハンロン氏は、内因性カンナビノイド・システムの働きが睡眠不足後の食べ過ぎを引き起こす要因の1つである可能性があると語っている。

では、同じ食物を食べても、睡眠時間が短いときと十分な睡眠をとったときとでは体重の増加に違いがあるのだろうか。

ペンシルベニア大学医学部の博士研究員アンドリア・スパエス氏が昨年、学術誌「オベシティ(肥満)」で発表した研究では、5日間にわたって睡眠時間を制限し、翌朝に安静時の代謝率を測定した。その結果、いつも通りの睡眠をとったあとより睡眠時間を制限されたあとのほうが代謝率が低いことが分かった。

睡眠研究=3

 === 続く ===

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