睡眠の都市伝説の真意 =022=

☆彡 睡眠の都市伝説を斬る =三島和夫・睡眠研究者= 彡☆

【この企画は“Webナショジオ・連載/睡眠の都市伝説を斬る”に追記補講した】

快眠グッズって、ほんとに効くの? =2/2= 

​​ 睡眠研究=1​​​​

 大部分の快眠グッズはボランティアに数日から数週間程度試用してもらい感想を聞いてみた、という宣伝法だ。 「一般の方○○名に試していただいたところ、△△%の方が現在お使いのものより熟眠できたとお答えになりました!」 「いやー、これを使い始めてから朝の目覚めが良くてね-、肩こりもなくなってスッキリだよ、ワハハ(個人の印象です)」

お古と新品を比較するのもフェアじゃないが、新しい「快眠」グッズと聞いただけで睡眠感が良くなったと感じるのが普通だ。 一種のプラセボ(偽薬)効果なのだが、睡眠についてはこれがバカにならない。 もともと日本人は「新商品」に弱いのだが、睡眠の質が悪くグッズに期待を寄せている人の場合は尚更プラセボ効果が出やすい。 薬効のはっきりしている睡眠薬でさえ、プラセボ効果に勝つのが大変なこともある。

銀座のショップで売れなかった5千円のスカーフが、値札を3万円に替えたとたんに売れたという都市伝説を聞くことがあるが、快眠グッズについても同じことが言える。 この値段なら素材も良いだろう、開発にお金がかかったのだろう、効きそうだ! と信じてもらうことがとても大事なのである。

快眠グッズにプラセボ効果を超える快眠効果があるのか私は知らない。 少なくとも新薬開発のように厳密な方法で睡眠に与える影響を確認したグッズに出会ったことはない。 ボランティアを対象に使用前後で脳波測定をするなど効果検証の努力をしている企業もあり好感が持てるが、残念ながら方法論的には突っ込みどころが満載である。

快眠グッズの挙げ足を取るのが今回の趣旨ではない。 新薬開発と同じ努力を求めるつもりもないし、必要もない。書きたかったのは快眠グッズの効果はプラセボ効果+アルファであり、おそらくアルファはかなり小さいこと。 でも、合計の快眠効果が大きければユーザーは十分に満足できるし、メーカーはそのためのいろいろな努力をしているということ。 信じる者は救われるのである。

逆にいったん効果に疑いをもたれたら市場から退場するしかない。 睡眠薬(実薬)ですら「これはプラセボだよ」と言って渡されると「やっぱり効きませんでした」と回答する患者が少なくない。 いわんや……である。

効果抜群と謳ってくれる芸能人、スポーツ選手、ドクターを引っ張りだすメーカーの気持ちもよく分かる。 効果に色が付いているわけではないし、強化されるのがプラセボ効果だろうが結果良ければ全てよし。 要するに効果の合計が大きくなればそれでよいのである。有名人に払うお金がない場合には、誰か分からないが化粧のノリが良さそうな美女や、膝枕でにんまりする疲れた中年の登場となる。

一般向けの講演を頼まれることも多いのだが、今回のようなお話しは聴衆の受けがあまりよろしくない。 考えてみれば当然である。 睡眠の講演会を聞きに来る方の多くは眠りに関する悩みを持っており、快眠グッズの1つや2つは購入したことがあったり使用中であったりするわけだから。

最近では方針変換して「プラセボ効果込みで効果があればいいんじゃないですか」とまとめてみたりもする。 しかしそれはそれで「研究者がなんたる言いぐさか」「このような講演を聞いてからではもう遅い!」とこれまたお叱りを受けることがある。 といったわけで、最近は講演会でも快眠グッズのお話しは一切触れないことにしているのである。

それにしても恐るべし、プラセボ効果。睡眠だけではない、抑うつや不安など精神症状に対してはプラセボ効果が非常に大きく、睡眠薬や抗うつ薬の新薬治験で実薬が苦戦を強いられることも稀ではない。 一方で、睡眠や精神現象にはそれだけ心理的要因が関わっている証でもあり、大きなレジリアンス(回復力)を持っているのだ。 快眠グッズはその心強い援軍とみるべきだろう。

次回は睡眠に与えるプラセボ効果についてもう少し掘り下げてみたい。

睡眠研究=2

=資料・文献 (The Wallstreet Jouurnal)=

良い睡眠、時間だけでなく途切れないことも重要(1)

良い睡眠にとって重要なのは、時間だけではない。睡眠が途切れないことも同じくらい重要なようだ。 新たな研究によると、泣いている赤ちゃんをあやしたり、トイレに行ったりするために夜中に何度も起きると、翌日の気分と認知能力に影響が及ぶことが分かった。

医学誌「睡眠」に先月掲載された研究で、ジョンズ・ホプキンス大学医科大学院のチームは、夜間に複数回目を覚ました人の気分が、夜遅くに寝ることを強いられた人より悪いことを突き止めた。 前者に関しては、ノンレム睡眠のステージ3にあたる徐波睡眠、つまり深い睡眠も減った。

またピッツバーグ大学の研究チームは、高齢者の睡眠が中断されると認知能力が下がるが、時間が短くても中断がなければ認知能力が下がらないことを突き止めた。 さらに、昨年発表されたイスラエルの研究では、8時間にわたる断続的な睡眠が気分と注意力にもたらす影響が、4時間の睡眠と同等だったことが分かった。

ジョンズ・ホプキンス大学の研究には、睡眠障害と診断されていない健康な人が参加した。 論文の主執筆者である同大学精神・行動科学部のパトリック・H・フィナン助教によると、62人の被験者は研究所に集められ、無作為に3グループに分けられた。睡眠が断続的に中断される群、就寝時刻を遅らせる群、そして比較対照群の3つだった。

被験者は3日間にわたって、研究所で夜に8時間の時間を与えられ、その間に睡眠を取るよう指示された。 睡眠中断群の被験者は、8時間のうち7時間については、1時間につき20分間起き、残りの1時間については、ずっと起きていることを指示された。どの時間帯に起きていなければならないかは、毎日変わった。

睡眠研究=3

 === 続く ===

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