民族のソウル・フード探訪 =126=

◇◆ 世界魂食紀行 ソウルフード巡礼の旅   ◇◆

【“NATIONA GEOGRAPHIC/日本語版(文=中川明紀・編集者)”に追記補講】

★ 親子をつなぐカンボジア版お好み焼き = 1/2= ★

郷土料理ー1​​​

   新宿から電車に揺られて約1時間、降り立ったのは小田急電鉄の愛甲石田駅(神奈川厚木市)。 改札を出てキョロキョロしていると、後ろから「こっち、こっち」と呼ぶ声。 振り向くと小柄な女性が手を振っていた。 NPO法人在日カンボジアコミュニティの伊藤裕子さんだ。

伊藤さんとは以前、ラオスの正月「ピーマイラオ」のお祭りに参加した時に知り合った(前記参照)。  かつて神奈川県大和市にあったインドシナ難民(ベトナム、ラオス、カンボジア)を支援する施設・大和定住促進センター(以下、大和センター)で働いていた伊藤さんは、現在も在日のラオス人やカンボジア人の支援を行っている。 この日は、伊藤さんの案内で在日カンボジア人の萩原カンナさんのお宅に伺うことになっていた。

きっかけは、4月25・26日に東京・渋谷区の代々木公園で開催される「カンボジアフェスティバル」だ。 代々木公園では年間を通してさまざまな国のフェスが行われるが、カンボジアが独立して国名を冠したフェスを行うのは初めて(タイの「ソンクランフェスティバル」と同時開催)。 そこで、主催の在日カンボジアコミュニティに問い合わせたところ、伊藤さんに再会したのだ。

郷土料理ー2

 フェスではどんなカンボジア料理が食べられるのか、伊藤さんに尋ねた。 すると、「それなら、味見に来ますか。 フェスの打ち合わせで料理を試食するんです」とのお答え。 フェスの前に食べられるなんて!なんとも素敵な提案に二つ返事で伺うことになったのである。

駅で待ち合わせた伊藤さんと私を、カンナさんが迎えに来てくれた。 カンナさんは35年前に難民として大和センターに入所し、いまは通訳などの仕事をしている。 「カンボジアの子どもたちが大好きな料理をつくります」とカンナさん。子どもに負けず劣らずワクワクである。

駅から車で10分ほどのところにあるカンナさん宅のアプローチには、ミントが植えられていた。 「ラオスの人たちと同じでしょ」と伊藤さん。 大和センターに来た難民は、敷地のいたるところにミントやレモングラスなど料理に使うハーブを栽培していたそうだ。 「みんな大きな荷物を抱えて入所するんだけど、中を見るとほとんどが食べ物や料理の道具。Tシャツ1枚で冬の寒さに震えながら、大事に抱えていましたよ」

その荷物の中に必ずといっていいほど入っているのが石臼だという。 家の中に入ると、先に来ていた在日カンボジア人のセレイさんが、まさに石臼で何かをすり潰していた。 セレイさんは、フェスで店のスタッフとして参加するそうだ。さっそく何をつくっているのか聞いた。

「バンチャエウです」

郷土料理ー3

 セレイさんはそう言って、すり潰したものを白い粉の中に入れた。 そのとたんに漂ってくる独特なにおい。 これは……ウコンだ。 「米粉とウコン、卵、塩でつくる生地を焼いて、具材を挟むんです。日本でいえばお好み焼きとかクレープみたいな感じでしょうか」と話すのはカンナさん。 日本語があまり得意ではないセレイさんの通訳をしてくれた。 具材は、豚の挽き肉と玉ネギ、ココナッツ、モヤシが一般的で、たまに鶏の挽き肉を使うこともあるという。

「セレイさんは料理が得意で、みんなが集まる時にいつもバンチャエウをつくってきてくれるんですよ」と伊藤さん。 「簡単につくれるし、子どもたちが好きな料理だから」とセレイさんは笑う。 バンチャエウはカンボジアでも人が集まる時などによくつくるそうだ。 「私もやりたい!」と、セレイさんの2人の娘さんが生地を混ぜる。料理上手な母の味、こうやって受け継がれていくんだなあ。

「これ、食べてみて」

そういって、セレイさんがパテをひと切れくれた。 塩がほんのりきいたシンプルな味で、コリコリとした食感が小気味いい。聞けば、豚肉のミンチに刻んだミミガーとキクラゲが入っているという。 「昔、フランス領だった影響でカンボジアではパテをよく食べるんです。 手軽に買えるし、日本でもアジアの食材店に置いてあります。 でも日本だと1キロ3000円くらいするんです。 だから自分でつくったそうです」と、カンナさんが言う。 カンボジアは食事の価格が安いため基本的に外食が多く、海外にいる人のほうが料理をするそうだ。

郷土料理ー4

 === 続く ===

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