睡眠の都市伝説の真意 =023=

☆彡 睡眠の都市伝説を斬る =三島和夫・睡眠研究者= 彡☆

【この企画は“Webナショジオ・連載/睡眠の都市伝説を斬る”に追記補講した】

睡眠薬の効果は4階建て_ 偽薬、侮り難し  =1/2=

​​ ​​​​睡眠研究=1

 マイナス33分 vs. マイナス11分 ・・・・・・・・・・ これは何の数値でしょう。 ライバルのマラソン選手がそれぞれ1年間に更新したタイム、ではない。 答えは過去の幾つかの新薬治験の成績から割り出された睡眠薬の平均的な入眠促進効果である。 実薬(本物の薬)だと寝つきにかかる時間が33分短縮するが、偽薬(ニセ薬)でも11分短縮する……、その差は22分。読者の皆さんはどのような感想をお持ちだろうか。

新薬の開発や臨床試験に関わる人間の共通した感想、というか悩みは「偽薬、侮り難し」である。 病気の種類や重症度、患者の性別や年齢によっては偽薬との差がさらに縮まることもある。

偽薬でも実薬だと信じて服用すると一定の治療効果が出る現象をプラセボ効果と呼ぶ。 プラセボとは偽薬のことで、ラテン語に由来する。 プラセボ効果は癌、糖尿病、高脂血症など実に多くの疾患の治療で認められる。例えば、高血圧症やアトピーでも偽薬服用後に血圧の低下(降圧効果)や痒みの改善(抗アレルギー効果)が一定の割合で認められる。

特に不眠、うつ、痛みなど主観症状が主体の疾患ではプラセボ効果が大きい。 新薬開発では実薬の治療効果が偽薬のそれを上回ることが求められるが、この勝負、とても大変なのである。 というのも降圧剤や糖尿病治療薬の偽薬が小結クラスだとすれば、睡眠薬の偽薬は大関クラスの実力があるから。 大関を下すには横綱級の新人を見つけなくてはならないが、人材不足は大相撲と同じである。

ここに有望な新薬候補があったとする。 その新薬の効果を確かめるには手間のかかる臨床試験(治験)が必要となる。 よく使われる試験方法は「プラセボ対照・無作為化・二重盲検・群間比較試験」である。 舌を噛みそうな長い名前だが今日の治験では標準的な試験方法の1つである。

この試験では、新薬成分が入った実薬だけではなく、実薬と見分けが付かない偽薬も用意する(プラセボ対照)。治験に参加してくれる患者をランダムに(無作為に)2グループに分け、片方には実薬を、残る片方には偽薬を服用してもらう。 どちらを服用しているか患者にも主治医にも分からないようにして(二重盲検)、一定期間服用した後に症状の改善度を比較する(群間比較)。 実薬服用群の方が偽薬服用群より症状が改善していれば試験は成功である。

なぜこのような面倒な方法を用いるかというと、偽薬であっても「服薬している」「実薬かもしれない」「治療を受けている」という意識、服薬する行為そのものがこれから説明するようなさまざまな心理面、行動面の変化を引き起こし、病気の経過に大きく影響するからである。 「プラセボ対照・無作為化・二重盲検・群間比較試験」は偽薬の影響を取り除くために巧妙にデザインされた試験方法で、世界中の新薬治験の多くがこの方法を用いている。

そもそも病気の経過中には何も治療しなくても、改善したり(自然治癒)、逆に悪化するなど症状がかなり変動する。不眠症も症状が変動しやすい病気の1つである。 効果の弱い治験薬でも服用するタイミングによっては大きな効果があるように見えてしまうことがある(図の1階部分)。

睡眠研究=2

=資料・文献 (The Wallstreet Jouurnal)= 

良い睡眠、時間だけでなく途切れないことも重要(2)

初日を終えた時点では、睡眠中断群の気分も、遅い就寝時刻群の気分も悪化したが、睡眠中断群の気分はその後も悪化し続けた。 遅い就寝時刻群の気分は3日間にわたって横ばいだった。 フィナン助教は「これは、まとまった睡眠は、たとえ通常より時間が短いとしても、夜中に何度も睡眠を中断されるより、気分を悪くさせないことが初めて示された」と述べた。

チームはポリグラフィー検査機を使い、睡眠中の被験者の脳波も計測した。 その結果、睡眠中断群の被験者の徐波睡眠が、遅い就寝時刻群より少なく、中でも初日が少なかったことが判明した。 初日の夜の睡眠中断群の徐波睡眠は、遅い就寝時刻群より42%少なかった。

2014年に医学誌「心理学と加齢(Psychology and Aging)」に掲載された研究で、ピッツバーグ大学医科大学院のクリスティン・ウィルキンズ助教のチームは、若者59人と高齢者53人の腕に体の微妙な動きから睡眠の状態を観測する加速度計を装着して、1週間にわたり計測した。

その結果、若者と高齢者の両方の群で、継続した睡眠を取らないと、記憶や言葉の流暢さなど認知機能を調べる一連の試験の結果が悪くなったことを突き止めた。 ただし、全体的な睡眠時間は高齢者の認知能力には影響しなかった。

ウィルキンズ助教は、「われわれがこの結果抱いた疑問は、高齢者が必要とする睡眠は若者より少ないが、それが継続してまとまっている必要があることを意味するのではないか、ということだった」と述べた。

睡眠研究=3

 === 続く ===

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