睡眠の都市伝説の真意 =025=

☆彡 睡眠の都市伝説を斬る  =三島和夫・睡眠研究者= 彡☆

【この企画は“Webナショジオ・連載/睡眠の都市伝説を斬る”に追記補講した】

不眠症の本質は睡眠時間の誤認である  =1/3=

睡眠研究=1

シャンパングラスを持つ手が疲れてきた。 テーブルの上にいったん戻すか、我慢するか。それにしても長い。 いつまで話し続けるつもりなんだ、この部長は。 「……にとって大事な三つの袋がありー……」おいおい、もう10分近くも話してるぞ! 乾杯の挨拶は1分までとマナー本にも書いてあるだろうが(怒)「えー、それではご唱和ください。乾杯!」

一席ぶって満足げな部長にとってはあっという間であろうが、聞かされる側はその倍、3倍の長い時間に感じる。 ひな壇から招待客のイライラがみてとれる新郎新婦は1時間くらい圧迫面接を受けたような気分に。 同じ空間と時間を共有しているのに、各々が感じる時間に大きな違いが生じるのは実に興味深い現象である。

時計がなくても、頭の中である事象の長さをカウントすることができるのは、我々が生来持っている時間認知機能のおかげである。 測定インターバルもミリセカンドから数時間のオーダーまで幅広い。 ボクサーやアナウンサーなどの例を見ても分かるようにトレーニングで時間認知機能は向上する。 カップラーメンが好きな人であればいちいちタイマーを使わなくとも絶妙なゆで加減で箸を手にすることができるようになる。

逆に時間認知に歪みが生じる疾患もある。その1つがこのコラムではおなじみの不眠症である。 不眠症の患者さんにとって最大の関心事は睡眠時間であるが、肝心のタイマーにある種の狂いが生じていることが知られている。

「何時間、眠れていますか?」

寝床に横になっていた時間ではなく、眠りに落ちていた時間である。 睡眠時間を尋ねられたら読者の方々は的確に答える自信をお持ちだろうか?

長年の不眠症に悩むKさんのケースで考えてみよう。さまざまな病院で何種類もの睡眠薬を処方されたが効果がなく、睡眠ポリグラフ検査(1晩中脳波を測って睡眠の長さや深さを客観的に測定する検査)を希望して来院した方である。

Kさんは普段、朝6時に起床する。これは現役時代から変わりが無い。 夜は随分と早くなった。昔はバラエティー番組やプロ野球ニュースを見るのが日課であったが最近はとんと興味が無くなってしまったという。 不眠で疲労感が強いため、夕食を終える頃にはまぶたが重たくなり、22時前に睡眠薬を服用して消灯する。 ご本人曰く「疲労感や眠気はあるのに眠れない。 それから長い夜が始まるんです」

Kさんには自宅と同じ22時~6時まで睡眠検査室で寝てもらった。 翌日に正味眠れた時間を一緒に計算する。色々な計算方法があるが、消灯してベッドで横になっていた時間から眠れずに目が覚めていた時間を引き算してもらうのが一般的だ。

まず寝つきにかかった時間を思い出してもらう。「良く憶えていないがとにかく時間がかかって苦しかった。 1時間ちょっと、いや1時間半はかかったような気がする」Kさんにとって1日のうちで最も苦しい時間である。

次に途中の目覚め時間。自宅では一晩に2回ほど目を覚まし、トイレに行くという。 今回の検査では3回であった。 「1回目と2回目はトイレも含めてそれぞれ15分、30分くらいでまた寝たかな。 3回目はなかなか寝つけず1時間近く目を覚ましていた」

最後に朝の目覚め。 「4回目に目が覚めた後はすっかり頭が冴えちゃって、もう眠れなかった。 家だったらリビングで一服するんだけど、検査中だからそれもできなくて辛かった。 検査終了まで1時間以上は起きてたよね?」

睡眠研究=2

=資料・文献 (The Wallstreet Jouurnal)= 

睡眠制限実験の長い夜、被験者はどう過ごすか (その二)

最近この研究所で生活していた被験者は3人で、うち1人がバートンさんだった。 研究所は窓のない狭い場所で、リノリウムの床材が使われており、薄暗い蛍光灯の照明がなされている。 被験者の受け取る報酬は2000ドル(約24万円)。 しかし14日間にわたる実験期間中、一切ここを出ることができない。 運動することも、電話を使うことも、インターネットにアクセスすることもできない(光と身体活動は睡眠、気分と検査結果に影響を及ぼし得る。 大事な人との口論も同様だ)。

被験者には、脳の動きを監視するワイヤーが取り付けられている。 そして相部屋にある病院用ベッドで数時間眠る。食事は病院のカフェテリアから届けられる。 カフェイン、チョコレート、ニコチンおよびアルコールの摂取は厳禁だ。 しかしスナックは無制限に取ることができ、グラノーラバーの「カインド」や「ドリトス」のスパイシースイートチリ味などが 小さなキッチンで入手できる。

被験者は実験の技師と「世話人(学部生が多い)」によって常に監視される。 トイレ休憩とシャワーを浴びるときだけ例外だ。 監視員たちは、被験者がさまざまなタスクを確実にこなし、起きるべきときに必ず起きているよう見守る。

ニュージャージー州から参加したバートンさんは「午前2時から4時まで、ずっとうとうとしていた」と話した。 ふだんは企業の管理部門のアシスタントとして働いているが、休暇を取って同研究所の睡眠実験に参加した。 これで3回目となるという。 彼女によれば、監視員たちは「常にわたしの名前を叫び、わたしを起こしておかなければならなかった。 アマンダ、アマンダ、起きているの?-という具合だ」という。

ゲール博士が主導して、被験者約100人を対象とするこの特別研究は、2つの異なるタイプの睡眠剥(はく)奪に人々が同等に対応しているかどうかを見極めるのが狙いだ。 研究では、急性の全体的睡眠ロス(睡眠なしで36時間過ごす)と、慢性的な睡眠剥奪(午前4時から午前8時まで、わずか4時間の睡眠だけで、5日間過ごす)を比較する。 ゲール博士によれば、暫定的な結果は、同等に対応しているかどうかの答えは「イエス」だという。

ゲール博士は「個人的な差異が極めて大きい。 しかし、急性の全体的睡眠ロスに抵抗力があれば、慢性的な睡眠剥奪状態にも抵抗力がある。逆に全体的な睡眠ロスにぜい弱ならば、慢性的な睡眠剥奪状態にもぜい弱だ」と述べた。

睡眠研究=3

 === 続く ===

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