民族のソウル・フード探訪 =135=

◇◆ 世界魂食紀行 ソウルフード巡礼の旅   ◇◆

【“NATIONA GEOGRAPHIC/日本語版(文=中川明紀・編集者)”に追記補講】

  ★ コリアンタウン新大久保のキムチ物語 = 2/3= ★

​​​郷土料理ー1

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「唐辛子が韓国に伝来したのは16世紀だといわれています。 それ以前のキムチは生姜やニンニクが調味料の中心だったようです」と金さんが言う。キムチは高麗時代(10~14世紀)の文献にすでに登場していて、時が流れるにつれて変遷を重ねている。 18世紀後半には塩辛を入れるようになったそうだ。 金さんが出してくれた唐辛子入りの白菜キムチにはアミの塩辛が入っていて、その旨みが全体に深みを与えていた。

「塩辛はアミかイワシが多いですね。私はイワシの塩辛が入ったキムチが好きです。 ちょっと臭みがあるけれどコクが深い。発酵が進んで酸味が強ければ最高ですね。私の母の味です」

金さんが言うには、キムチには一般的に30種ほどの材料が使われるという。 その種類は家庭によって異なるので、当然、家庭の味というものがある。 そして金さんは、その母親のキムチでチゲ(鍋)やチヂミをつくって食べていたという。

「キムチは料理であると同時に食材としても重宝されています。 チゲやチヂミはもちろん、炒飯に入れたり、炒めたキムチと豆腐を一緒に食べたりと、キムチを使った料理は何十、何百種類もあるんです」

最近では豚肉のブロックとキムチを炊き込んだキムチチムという料理が人気らしい。 しかし、これって言い換えればどんな料理にもキムチを入れちゃうってことではなかろうか。 韓国人にとって、キムチは本当に身近な食べ物なのだとしみじみ思う。

「私は経済産業省の外郭団体の研究員として1985年に来日し、その後、一橋大学の大学院に入りました。 学生ですからゼミ合宿とかあるんですが、それが大変。 たった1~2泊なのに、キムチが恋しくなってしまうんです。 だから帰るとまっさきにキムチを食べ、それからキムチチゲをつくって食べる。 日本に住んで30年、和食も大好きですが、体がキムチを欲する感覚だけはいまも変わりません」

金さんはそう言ってキムチチゲを出してくれた。 白菜キムチに豚肉や豆腐、ネギがたっぷり入った真っ赤な鍋。スープをすすると一気に汗が吹き出した。 「おおー辛い!」と言いながらスプーンを持つ手は止まらない。 いろいろな具材の旨みが濃縮されたスープのコクと、舌を刺激するほどよい辛さが、暑さでバテ気味の体をシャキッとさせてくれる。 汗を拭きながら夢中で食べていると、金さんが笑顔で言った。

「私がいまの商売を始めたのは、日本の人たちにキムチを美味しく食べてほしかったからなんです」

金さんは来日してまもなく、在日を含めた韓国人と日本人の間に溝を感じるようになった。 それは歴史に由来する個人同士では解決できない溝だ。 両国がお互いの理解を深めるにはどうしたらいいか。 そのためにはもっと歴史を知らなければならないと、金さんは大学院に行くことにした。

しかし、論文を書いたところで日本人と仲良くはなれない。 そんな悩みを抱えていたとき、幼稚園に通っていた息子さんとテレビで日本とアメリカのバレーボールの試合を見る機会があった。 試合が始まると息子さんは「ニッポンチャチャチャ!」と、日本の応援を始めたという。

「なぜ日本を応援するのかと聞いたら、『僕は日本で生まれて日本の幼稚園に通っているんだから当たり前だよ』と、言われました。 そして、『パパはどっちを応援しているの?』と聞き返されました」。 金さんはアメリカを応援していた。日本人と仲良くなりたいと思っているのに、歴史が頭をよぎり素直に応援する気にはなれなかった。

郷土料理ー2

韓国では一般に、キムチの文献初出を13世紀初頭としている。 玄宗を題材とした長編詩で有名な李奎報(1168年 – 1241年)の詩集『東國李相國集』に収録されている「家圃六詠」という詩に「菁(かぶら)」という部分があるが、その中の「得醬尤宜三夏食 漬鹽堪備九冬支(醤漬けして夏に食べるのがよく、また塩漬けして冬支度に備える)」という意味である。なおこの記述の中に「キムチ」という名称は登場しない。

また該当の食べ物は日本中国漬物と特に変わりがなく、唐辛子や塩辛、白菜を使用するといったキムチの大きな特徴はまだ見受けられない。 また蕪とは大根と同じ根菜であり蕪の発酵を伴う漬物としては日本や中国には昔からあったが朝鮮半島にはなかった。塩もキムチの乳酸発酵で用いられる塩辛などではない。

16世紀、朝鮮半島に日本から唐辛子が伝来してしばらくしてから、唐辛子を用いて作られるようになった。

持ち込まれた当初、朝鮮では唐辛子のことを倭芥子、若しくは倭椒と呼び、毒があるとして忌避していたが、後にキムチをはじめとした料理に用いるようになった。 1670年のハングル料理書『飲食知味方』に出てくるキムチは、唐辛子を使用したものは一つも見られない。

郷土料理ー3

 === 続く ===

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