睡眠の都市伝説の真意 =036=

☆彡 睡眠の都市伝説を斬る =三島和夫・睡眠研究者= 彡☆

【この企画は“Webナショジオ・連載/睡眠の都市伝説を斬る”に追記補講した】

光は「いつ浴びるか」より「浴びた量」 冬季うつのメカニズム =3/3= 

 睡眠研究=1

​​ これまでのデータを総合すると、日中いずれの時間帯で行っても光療法の効果はほぼ同等であることが判明している。 朝の光療法がベターだという意見もあるが、実際にはさほどの違いはない。 光療法の時間に制限がないことは治療を受ける側から見れば福音である。ちなみに夜の光療法はダメ。 体内時計を大幅に夜型にしてしまうし、そもそも眠れなくなる。

光のタイミングよりもむしろ光の量の方が重要だとして、光療法にはどのくらいの強さの光が必要なのだろうか。 一般的には2500~1万ルクスの高照度光を用いる。大まかに言えば、照度X(かける)照射時間に比例して治療効果は高くなる。1万ルクスの光を1時間程度浴びると確かな効果が得られる。 日常生活で浴びることのできる光照度の目安を付けたので参考にしていただきたい。

以上ご紹介してきたデータは何を意味するのであろうか。まとめてみよう。

まず、冬季うつの患者さんは光に対して敏感らしい。  結果的に日長(日照)時間や日照量の季節変動を感知する能力が残っており、むしろ敏感に反応してうつ症状や過眠過食が発症していると考えられる。 光環境のどの要素に反応しているのか。これはまだ不明な点もあるが、日照量の減少が大事な役割を果たしていることは間違いなさそうだ。

ちなみに冬季うつは病気なのか? という質問を受けることがあるが、冬季うつは間違いなくうつ病の一型である。 精神疾患の国際診断基準でも気分障害の季節型、季節性感情障害などの診断名が明記されている。 本稿ではもう少し馴染みやすい通名である冬季うつという名前を用いた。 先にご紹介したように健常人でも気分や食欲、睡眠に季節変動が見られるが、冬季うつではさらに変動が大きく日常生活に支障が出るほどになる。 そのような段階に至った場合、病気として診断される。

冬季うつ病の患者さんはどのくらいいるのだろうか。米国で行われた面接調査では「それまでの人生で罹患した人の割合(生涯有病率)」が0.4~1.0%、より高緯度のカナダでの調査では約3%であった。 同じ時期のカナダのうつ病(大うつ病)の生涯有病率が26%なのでうつ病の1/10が冬季型であると試算されている。 前回でご紹介した簡易診断スケールであるSeasonal Pattern Assessment Questionnaire (SPAQ)を使った調査では「調査時に罹患している人の割合(時点有病率)」は北国で3~4%、全国平均では1%であった。 冬季うつは決して稀な疾患ではない。 今そこにある病気なのである。

冬季うつの発症メカニズムや光感受性の分子メカニズムなどについて現在も精力的に研究が進められている。 冬季うつで悩む方に少しでも早く朗報が届けられるよう私たちも微力ながら頑張っている次第である。

今年も睡眠の都市伝説をバサバサと斬って参ります。 お楽しみに。  皆様にとって新年の日差しが明るく暖かいものでありますように。

睡眠研究=2

=資料・文献 (The Wallstreet Jouurnal)=

赤ちゃんのように眠ると瞬時に学習、睡眠が知識習得のカギ(1)

赤ちゃんや子どもはたくさん眠る。 1日12時間前後と、大人の8時間よりかなり多い。 しかし、子どもはなぜ、目が見えず、耳も聞こえず、夢という幻覚にも差し挟まれる睡眠に、生活の半分の時間を費やしているのだろうか。 はたまた、全ての高等動物はなぜ、毎日数時間、苦労して手に入れた生存能力を睡眠という形で手放しているのだろうか。

子ども自身も睡眠が意識を奪うことに当惑し、腹を立てることがあり得る。われわれ疲れている大人は、このささやかな無意識状態を歓迎するかもしれないが、幼児は昼寝により明るさが消え去ることに対し、ぐずる。

  そうした疑問への答えの1つは、睡眠がわれわれの学習を助けることにある。 脳が洪水のような新しい経験を取り込むと同時にそれを合理的に理解するのは、難し過ぎるのかもしれない。 そのため、脳は一定時間世界を眺め、その後新たなインプットを遮断し、それまでに眺めたものを選別するのだ。

子どもはとりわけ深く学習する。 注目される一部の実験によると、小さな乳児でさえ複雑な統計的パターンを持つデータを取り込み、パターンを説明する規則や原理を理解できる。 そしてこういった学習では、睡眠が特に重要な役割を果たしているようなのだ。

米アリゾナ大学のレベッカ・ゴメス氏率いる研究チームは2006年、生後15カ月の乳児に架空の人工言語を教えた。 乳児は意味のない単語で構成された240の「センテンス(文)」を聞かされた。 「Pel hiftam jic」、「Pel lago jic」といった文だ。 われわれが実際に使っている文と同様、これらの文は一定の規則にのっとっていた。例えば、1語目が「pel」の場合、3語目は常に「jic」になるといったようにだ。

半数の乳児には文を聞かせ、その直後に昼寝させた。 残りの半数には目覚めた直後に文を聞かせ、そのまま起きた状態においた。

睡眠研究=3

 === 続く ===

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