睡眠の都市伝説の真意 =039=

☆彡 睡眠の都市伝説を斬る =三島和夫・睡眠研究者= 彡☆

【この企画は“Webナショジオ・連載/睡眠の都市伝説を斬る”に追記補講した】

『夢はレム睡眠の時に見る』のウソ =3/3= 

 睡眠研究=1

​​ 夢を見ないレム睡眠もある。 前頭葉に損傷のある人のレム睡眠である。夢を見るためには大脳皮質、特に前頭葉の活動が必要で、レム睡眠があるだけではダメなのである。 ちなみに、レム睡眠中の急速眼球運動は夢に必須ではない。 眼球のキョロキョロした動きは夢体験とは基本的に無関係である。

 さまざまな睡眠段階で夢をみることは分かったが、どのような引き金で夢が始まり、そして終わるのか、詳しい神経メカニズムは実は未解明である。 1つの可能性として、前頭葉に向かい、人間の欲求や快感を司る「ドーパミン神経系」の役割が注目されている。 前頭葉にダメージがあると夢見が消えること、ドーパミン神経系を興奮させる覚醒剤などの薬物で鮮明な夢や悪夢をみること、ドーパミン神経系をブロックする向精神薬が悪夢を改善することなどが傍証だ。

このように夢と情動は密接にリンクしている。 例えば、「レム睡眠行動障害」と呼ばれる夢の内容そのままに体が動いてしまう睡眠障害では、日中にストレスを感じるような出来事があるとてきめんにその晩に症状が悪化する。 会社で上司から叱責された晩に、夢の中で口論し激高して相手に殴りかかったところで家族に起こされるなどというケースもざらにある。 その時患者は大声を上げて立ち上がり、目の前にけんか相手が居るかのように腕を振り回していたのだ。

このような激情を伴う夢をみてしまうのは、情動を司る脳部位が一役買っている。 例えば、鮮明な夢を見やすいレム睡眠中の脳活動を測定してみると、情動に関わる脳部位が睡眠中にもかかわらず活発に活動していることが明らかになっている。

快感を司るドーパミン神経系が夢のトリガーになるならばハッピーな夢を沢山見ても良さそうなものだが、残念ながら事実は逆のようだ。 夢の中では楽しい嬉しいなどのポジティブな情動よりも、むしろ不安感や恐怖感などネガティブな情動を経験することが多いとされる。その理由はよく分かっていない。 人間とはやはり根源的な不安を抱えている生き物だからであろうか。

さて以上の知識を元に、松の内も明けてしまったので、来年の縁起の良い初夢を見るためのコツを伝授したい。

第1に大晦日に夜更かしせず十分な睡眠をとること。 睡眠不足に陥るとポジティブな情報に鈍感になり、逆にネガティブな情報に過敏になることが知られている。 悪夢の原因となりかねない。紅白歌合戦が終わったら普段通りに就寝しよう。

第2に飲み過ぎないこと。アルコールは深睡眠を減らしレム睡眠を増やしてしまう。 飲酒時は悪夢の頻度が高い。奥方の「飲みすぎないでよ!」などの小言はさらに悪夢を出やすくさせる。

第3にストレスを発散すること。 例えば、年末の大掃除を頑張れば適度な疲労と家族からの感謝で心地よい眠りへと誘われるであろう。

来年の初夢に向けて年末と言わず今からじっくりと長期計画で休養と節酒、家族サービスを心がけていただきたい。 ちなみに私は縁起を担ぐタイプではないので、いつも通りのグータラな寝酒と寝正月を過ごすつもりである。

睡眠研究=2

=資料・文献 (The Wallstreet Jouurnal)= 

明晰夢の利点―覚醒時の能力向上に利用 (2/2)

一部の人にとっては明晰夢は容易にやって来るが、専門家はこれは学習され得ると見ている。特に睡眠研究施設で、意識的に明晰夢状態に入れる人の数が少ないことは、この現象を研究する上での主要な難しい課題の一つだ。別の問題は、覚醒時の記憶が正確なのかはっきりしないことから、人が実際に明晰夢を見ているのかどうか分からないことだ。

リンカーン大学のパトリック・バーク、ハンナ・ショーの両氏は、研究者であると同時に明晰夢を見る人たちだ。2人は、この夢をしばしば見る人はそうでない人に比べて覚醒時における考え方に違いがあるのかどうか研究を始めた。2人は、夢を見ている時の覚醒はしばしば問題解決時に見られるような「なるほど、と思う瞬間(aha!moment)」に関連しているのではないかとの仮説を立てた。この研究は米心理学会のドリーミング誌6月号に掲載された。

研究室では、夢を見ているとの認識を経験したことのない20人、時々明晰夢を見る28人、頻繁に明晰夢を見る20人が問題解決のテストを受けた。被験者には三つの単語を与え、それに続く単語を考えさせた。例えば「stone」なら、「age」「mile」「sand」という単語でペアを作れる。

頻繁に明晰夢を見るグループの成績は夢を見ないグループに比べて大きく上回った。時々見る人たちは中間だったが、他の二つのグループに比べて統計学的に異なるというものではなかった。

この研究では、なぜ頻繁に見るグループの成績が良かったのかは不明だった。研究論文の執筆者らは、このグループでは遠隔連想などの能力がより鋭く磨かれるのではないかと考えた。研究者らは、このグループが他の二つのグループに比べて知能や認知能力が優れているのかどうかの情報は持っていなかった。

認知力の差に注目した他の研究も、頻繁に明晰夢を見る人たちの能力が他の人たちより高いことを示唆している。

ベルン大のエルラッハー博士は、夢を見ている際のメンタルプラクティスが肉体的能力に与える影響に関心を持った。同博士の分野での研究は、ボールをうまく打ったり、バスケットボールでシュートを決めたりするイメージングによって、選手たちは実際の試合でよりうまくプレーできることが示された。

2010年にスポーツ心理学誌に掲載された小規模な研究で同博士とそのチームは明晰夢を見る人たちを対象に、寝る前に20回コーヒーカップにコインをトスして入れ、寝てからはその夜に自分が練習していることを夢見るように指示した。翌朝、またコインをカップに入れるように言うと、夢の中で成功した人たちは、そうでない人、それに明晰夢を見ないグループに比べてより正確に入れることができたという。

睡眠研究=3

 === 続く ===

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