民族のソウル・フード探訪 =146=

◇◆ 世界魂食紀行 ソウルフード巡礼の旅   ◇◆

【“NATIONA GEOGRAPHIC/日本語版(文=中川明紀・編集者)”に追記補講】

  ★ 下町で味わう 東欧の秘境モルドバ料理 =1/2= ★

​ ​​郷土料理ー1

​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​失礼ながらその国を知らなかった。 ルーマニアとウクライナに挟まれた、九州よりもやや小さい面積の国・モルドバ共和国。存在を知ったきっかけはあるニュース。 昨年12月8日に在日モルドバ大使館が、そして今年1月1日に在モルドバ日本国大使館が開設されたと聞いたからだ。

大使館ができたということは、両国にはそれなりの交流があるはず。 調べてみると、モルドバは農業国であり、特にワインの生産が盛んで、近年は日本にも入ってきているようだ。 日本には159人(2014年6月時点)のモルドバ人が住んでいて……そして見つけました、日本唯一らしいモルドバ料理の店を。

 その店は東京の葛飾区亀有にあるという。 亀有といえば、漫画『こちら葛飾区亀有公園前派出所』で知られる「ザ・下町」。昭和のにおい漂う町並みにモルドバの店がどう溶け込んでいるのか、そんな興味も抱きつつJR亀有駅に降り立った。

住宅と商店が混在するエリアで、その店は大きな国旗を掲げて主張していた。 しかし、店の入り口に立って少し戸惑う。屋根が付いた和風の引き戸。 そして看板には……居酒屋 NOROC(ノーロック)?

「2014年の12月にオープンしたんですが、ここは下町ですからね。 レストランにすると敷居が高くなる。 ましてやモルドバなんて知られてない国は敬遠されかねないので、親しみやすい居酒屋にしたんですよ」

そう教えてくれたのはオーナーの倉田昌明さん。 店内にはテーブル席のほかに座敷もあってまさに居酒屋。 それでいて、モルドバの風景写真やロシアの民芸品マトリョーシカが飾られて異国情緒も醸す。 この肩の力が抜けた雑多な空間、不思議と居心地がいい。

しかし、メニューにあるモルドバ料理は本格的。担当するのは倉田さんの奥様でモルドバ出身のディアナさんだ。 モルドバのソウルフードを尋ねると、「国民みんなが好きな料理の中で、特に私の思い入れが強いものです」と言って出してくれた。

「ママリーガとトカナです」

お皿に乗っていたのは、角切りにした肉の煮込みと蒸しパンのようなもの。 ニンニクの香りがふわりと漂い食欲をそそる。

「ママリーガはモルドバの主食の一種。トウモロコシ粉に水と塩を入れて、弱火にかけながら練り上げます。ある程度固くなったところでバターを混ぜてできあがり。 トカナのような肉料理やチーズと一緒に食べます」

郷土料理ー2

 まずはママリーガだけを口に入れた。見ためよりもギュッとしていて固め。 バターの風味がふわっと香り、やがてトウモロコシの自然な甘みが舌に伝わってくる。 クセがないのでどんな料理にも合いそうだ。

一方、トカナは玉ネギの煮汁で豚肉を煮込んだ料理で、豚肉が口の中でほろりとくずれるほどやわらかい。 ニンニクと唐辛子などのスパイスで味付けをしているが、ニンニクがきいたパンチのある味なので、マイルドなママリーガがよく合う。 ママリーガに肉とトロトロの玉ネギをのせて、マリアージュが生み出すうま味をゆっくりとかみしめる。

「トカナは休日に家族と一緒に食べる料理なんです。 どこの家庭でも同じですが、私にとって思い出深いのは、年末の休みに田舎の祖父母の家にいくと、おじいさんが家畜の豚をほふって大きな鍋でトカナをつくってくれたこと。 それをママリーガと一緒に家族みんなで食べるのが美味しくて。 いつも楽しみにしていたんです」

トカナは何時間もかけて煮込むという。孫たちを喜ばせようと準備しているおじいさんの後ろ姿がまぶたに浮かぶ。

「トカナはお家ごとに味が違って私も家の味を受け継いでいるけれど、日本に来てから唐辛子を少し入れるようになりました。モルドバは塩とコショウがメインのシンプルな味だけど、日本人は辛い料理とか好きだからね」とディアナさん。 そこに、「トカナに限らず、モルドバ料理はすごく時間がかかるんですよ」と倉田さんが話を継ぐ。

郷土料理ー3

 === 続く ===

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