民族のソウル・フード探訪 =151=

◇◆ 世界魂食紀行 ソウルフード巡礼の旅   ◇◆

【“NATIONA GEOGRAPHIC/日本語版(文=中川明紀・編集者)”に追記補講】

麺大国・中国 驚きの麺料理バリエーション =1/3= ★

郷土料理ー1 ​​

 麺のふるさと。

その言葉を思い出したのは、深夜12時を過ぎたラーメン屋で豚骨ラーメンをすすっている時だった。 いまや日本の国民食であるこのラーメン、元をたどれば横浜中華街の中国の人々が中華麺を用いた汁そばを提供したことで広がったという。同じく日本を代表する蕎麦やうどんもそのルーツは中国にあるそうだ(諸説ある)。

中国といえば数年前、日本建築史を創始した建築家・建築史家の伊東忠太(1867~1954)の足跡をたどって中国北西部の山西省にある雲岡石窟を訪れた。 彼が「発見」した東西1キロにもおよぶ石窟寺院は、1500年も前に造営されたという。高さ15メートル以上の巨大な石仏を前に、こみ上げてくる興奮と悠久の歴史を感じたものだ。 そしてこの旅でもう一つ満喫したのが麺料理。多種多様な麺料理がある山西省は中国で「麺のふるさと」と呼ばれているのだ。

「山西省には100種類以上の麺料理がありますよ」

そう教えてくれたのは李俊松(リ・ジェンソン)さん。 東京・大久保で、故郷である山西省の料理店を奥さんの秀珍(シュウチン)さんと営んでいる。 中華料理の店は無数にあるが、山西省の郷土料理を専門にする店は珍しい。 山西省の旅を思い出してから無性に現地の麺が食べたくなった私は、店の噂を聞きつけて仕事仲間のKさんと一緒に訪れたのである。

と、思わずスルーしてしまうところだったが、麺料理が100種類以上!?「300種とも400種とも言われているみたいですよ」とスマホで調べてくれたKさんが言う。 確かに現地には麺料理の店がたくさんあったが、それほどとは……。 山西省の人の多くは毎食のように麺を食べるそうだ。 「麺がなくなったらお米を食べるという感覚です。 主人はお米も食べるけど、私は一年に3~4回くらい。 それ以外はほとんど麺を食べています」と奥さん。 驚く私たちに、李さんはメニューを開いて説明してくれた。

「一番有名なのは刀削麺ですね。 山西省は刀削麺発祥の地と言われているんです」

そうそう、刀削麺は現地で食べました。 担々麺やジャージャー麺(炸醤麺)などとともに中国を代表する麺の一つに挙げられる山西省の名物で、小麦粉をこねた生地の塊を板に乗せ、包丁でそぎ落として鍋にいれていく。 一説では、元代に統治者のモンゴル族によって武器と一緒に包丁まで没収された漢人が、包丁の代わりに薄い鉄片で生地を削って麺を作ったことに由来するというが、そのパフォーマンスが日本でも何年か前に流行ったなあ。

「でも、日本で食べる一般的な刀削麺はスープの中に入っていますよね」と李さん。 山西省ではスープに麺を入れるというより、麺にタレを絡めて食べるという感覚らしい。 「とくに山西省の人間が好んで食べるのがこれです」といっていくつもある刀削麺のメニューの中で、李さんが指したのは「西紅柿・鶏蛋麺」。 日本語にするとトマト・玉子の麺という意味だ。

普段食べる中華のイメージからか、肉が入っていたり、脂っこかったりするのかな、と思っていたから少し意外だった。

郷土料理ー2

=資料=

(めん)とは、食品の一種。 小麦粉(あるいは、蕎麦粉、米粉など各種の穀類の粉やデンプンなど)に水と塩などを加えた生地を細く長くしたものである。 中国語における「麺」は下記のように小麦粉そのもの、または小麦粉の生地を細く長くしたもの。

日本では、小麦、蕎麦、米などを製粉し、水などを加えて混練してから主に細長い形に加工した食品を麺または麺類と呼ぶ。 また後述されるように、コンニャクや海藻など材料が何であっても、形状により「麺」として扱われる。 麺は当用漢字になかったため、法令では平仮名で「めん」と書かれる(「カップめん」など)。

世界各地には、様々な食材を原料とした多種多様な麺が存在している。 さらに麺を調理した麺料理となると、そのバリエーションは数え切れないほどである。 日本では中国を上回る普及ぶりを示したラーメン、旧来からのソバ、うどんをはじめ、近年はパスタ類も一般化しており、そうめん、冷や麦なども併せ、世界でもトップクラスの麺類愛好国となっている。

麺は、そのまま加熱して食べられるようにする場合以外に、乾麺、冷凍麺などにして保存する場合もある。 当初、油で揚げて保存性、加工性を持たせたインスタントラーメンは全世界に輸出、技術移転されている日本発の大型ヒット商品である。

郷土料理ー3

 === 続く ===

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