民族のソウル・フード探訪 =152=

◇◆ 世界魂食紀行 ソウルフード巡礼の旅   ◇◆

【“NATIONA GEOGRAPHIC/日本語版(文=中川明紀・編集者)”に追記補講】

麺大国・中国 驚きの麺料理バリエーション =2/3= ★

​ ​​郷土料理ー1

「昔の山西省では肉が貴重な食べ物でした。 だから日常的に食べる刀削麺に入れることはなかなかできません。 でも、トマトは育てるのが簡単なので、みんな自分で育てて刀削麺に入れて食べるんです。 刀削麺と聞いて山西省の人間がイメージするのがこの西紅柿・鶏蛋麺。 子どもの頃から慣れ親しんだ味なんですよ」

李さんの言葉を聞いて、思い出の味をいただくことにした。 出てきたどんぶりの中には潰したトマトと炒り卵がたっぷりかかった刀削麺。 しっかりと混ぜてから麺をすすると、トマトの香りがふわりと広がった。 シンプルな塩味でさっぱりとしているが、トマトの甘みや玉子のまろやかさが麺を包み、なんともやさしい味わいだ。

トマトって麺に合うんだな~としみじみ堪能していたら、「やたらと麺が太いトマトソースパスタって感じですね」とKさん。 あ、そうか、そりゃ合うはずだ~ってKさんたら冷静。 ちなみに、刀削麺をつくるにはへの字に曲がった長方形の専用包丁を使うが、持っていない家庭も多く、 その場合は食感が少し異なるものの、普通の包丁で生地を切るという。 それを聞いたKさん、 「うどんですね」。だから、冷静すぎだって……。

さて、刀削麺をじっくり楽しんだところでやはり麺のふるさと、他の麺も食べてみたい。 メニューを覗き込むと、そば粉の麺にえん麦の麺と約20種類の麺料理が並んでいる。 えん麦の麺は現地でも食べたなあと思い出していたら、「ブランズ」というジャガイモの蒸し麺焼きそばなるものが目に飛び込んできた。 細切りにしたジャガイモに小麦粉をまぶして蒸すらしい。

ジャガイモの麺なんてあるのかと驚いていると、さらに「これも麺なんでしょうか」とKさん。 視線の先には「ヨウミェンラオカオカオ」の文字。 えん麦の一種であるヨウ麦の麺のせいろ蒸しということのようだが、写真にあるのは薄い筒状の生地をハチの巣のように並べた不思議な料理。 「麺料理には見えないけれど……」と言うと、李さんは笑って説明してくれた。

「中国では穀物の粉を練った生地を使うものは麺というんですよ」。 もともと麺は小麦粉という意味だったが、いまはほかの穀物の粉にも用いられるようになり、広くとらえれば餃子やワンタンも麺となるらしい。 そういえば、現地には雑穀麺の専門店もあったし、トウモロコシ粉を使った蒸しパンのような料理も麺のメニューの中にあった。 刀削麺一つにいてもいろいろな具がある。そう考えると麺料理300種というのもわかる気がしてきた。

そこに「ジャガイモは穀物じゃないですね」とKさんの素早いツッコミ。 確かに……でも、緑豆の麺なんかもあるらしい。 穀物と同じような食べ方もするから含まれるのかもよ、広い大陸だからきっと細かいことにはこだわらないんだよ、とKさんに適当なことを言って、この2つを食べてみることにした。

先に出てきたのはジャガイモ麺。香ばしく炒めてあるが、小麦粉をまぶして蒸したジャガイモはもちもちとしていて確かに麺っぽい。 細切りとあったが、小麦粉にマッシュポテトを混ぜてつくるニョッキのような感じなのかも。 塩、ネギ、唐辛子、ニンニクによる味付けはピリ辛く、ついつい後を引く味だ。

郷土料理ー2

=資料=

 : 麺の誕生には諸説あり定かではない。

中国に小麦が伝わったのは前漢(紀元前1世紀前後)時代に西方との交易路が開けてからであると言われているが、他の穀物を使った麺が地中海地域で小麦粉のものに変えられた可能性も考えられる。 現在までに発見された最も古い麺類の遺物は、中国青海省民和回族トゥ族自治県の喇家遺跡で見つかった、およそ4000年前のものである。 これは小麦粉ではなく粟(あわ)で作られていた。

他に、栽培小麦発祥の古代メソポタミヤから遊牧民によって餃子(ぎょうざ)の形(アフガニスタンのオシャク、ウイグルのジュワワ)で伝わり、華北で皮が別れて麺條(生地を細長く伸ばしたもの)が生まれたとするものもある。

後漢の『説文解字』には「麺」の本字である「麪(ミエン)」は麦の粉とある。 「麵」は「麪」の音を表す部品「丏」を同音の「面」に置き換えた異体字である。 も日本の餅とは違い、小麦粉の生地をいう。 『説文解字』に「餅(ビン)」は小麦をこねた食べ物とある。 加熱法で蒸餅、焼餅、油餅、湯餅に分類された。 北魏の『斉民要術』には水引という、水中で餅を延ばして麺を作る方法の記述がある。

唐時代には2年3毛作などにより小麦が大量に収穫できるようになった。 この頃、遣唐使が唐菓子と果餅を持ち帰ったことが、日本での麺と菓子の始まりとされる。 宋(王朝)時代には南北の食文化の複合がおきて現代の麺料理の原型が誕生した。 そして、留学僧(鎌倉時代から室町時代)によって宋の麺料理が伝来した。 宋・元時代の『居家必用事類全集』には14種類の麺料理の記述がある。

郷土料理ー3

 === 続く ===

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