民族のソウル・フード探訪 =153=

◇◆ 世界魂食紀行 ソウルフード巡礼の旅   ◇◆

【“NATIONA GEOGRAPHIC/日本語版(文=中川明紀・編集者)”に追記補講】

麺大国・中国 驚きの麺料理バリエーション =3/3= ★

郷土料理ー1​ ​​

 燕麦のせいろ蒸し麺は、トマトダレか山西省の名産である黒酢をベースにしたタレにつけて食べる。 せいろのふたを開けると、湯気とともにもち米を炊いたときに近い、独特のにおいが立ちのぼった。 筒状になった麺は直径2センチ、長さ3センチほど。 薄さは1ミリにも満たないがもっちりとして食べごたえがある。

「ちょっとクセのある味ですけど、この麺にもトマトが合うんですね」とKさんが言う。 甘み引き立つトマトダレもいいが、酸味がさっぱりとしていながらコクがある黒酢が個人的には気に入った。

「中国でもヨウ麺を食べているのは山西省と内モンゴルの方くらいなんですよ」と李さんは言う。 黄土高原の東部に位置する山西省は、その大部分が標高1500メートル以上と高く乾燥地帯であるために稲作ができず、主に小麦が栽培されている。しかし、昔は小麦をつくることも難しく、えん麦などの雑穀が主流だったようだ。 こうした雑穀を美味しく食べる工夫をしていくなかで、麺食が発展したのではないかとも言われている。

「私の家は省の北部にあったのでより気温が低く、土地も痩せている。 小さな頃は小麦粉がまだ貴重でしたから、刀削麺よりヨウ麺のほうがよく食べていましたね。 でも、このせいろ蒸し麺はつくるのが難しいんです。 生地を均一に薄くして丸めないと蒸すときにムラができてしまう」

李さんは料理上手なお母さんに教わり、毎日のように練習してつくれるようになったというが、いまはこのえん麦が小麦粉より貴重で高くなってしまったこともあって、女性でも上手につくれる人は少ないらしい。

「子どもの頃は家庭料理だったけど、いまはお店で食べるほうが多い。 でも、日本にはこの料理を出すお店もありません。刀削麺にしても、お店はたくさんあるけれど西紅柿・鶏蛋麺があるところは少ない。 来日して中華料理店に勤めていた私に、何人もの同郷の人間から故郷の麺が食べたいといわれたので、山西省の料理店を開いたんです」

李さんの言葉に麺料理の奥深さを感じながら、ヨウ麺をかみしめた。 かつて訪れた黄土が舞う山西省の素朴な町で食べた、あたたかな刀削麺の味を思い出した。

郷土料理ー2

=資料=

麺の成形法

原料となる粉をこねて生地とし、麺にする方法にはいくつか種類がある。 通常は、加熱する前に目的の形に成形するが、中国浙江省の烙麺や北京の炒餅の餅のように、薄くのばして焼いてから細く切るという特殊なものもある。 分類すれば

〇薄く延ばし包丁で細く切る(切出法) – (日本の)ラーメン、うどん、蕎麦切り、沖縄そば、烙麺、切り麺 /〇水中で引っ張って細長い紐状にする – 水引餅、水餅子 /〇両側から引っ張って細長い紐状にする(撚延法) – 素麺、稲庭、中国の拉麺、掛麺、ビャンビャン麺、中央アジアの拉条子 /〇小さな穴をあけた容器、器具に入れて押し出す(押出法) – 六兵衛、冷麺、ビーフン、スパゲッティ、マカロニ、日本のラーメンの一部、中国の蕎麺、酸湯子、スリランカのイディアッパなど /〇切り分けた生地を指先や掌でよって細く伸ばす – 一本うどん、中国の搓麺、搓魚 /〇生地の塊を削る – 刀削麺撥魚

刀削麺

元代、モンゴル族の統治者は漢民族の反乱を恐れて金属製の武器を取り上げた際に、各家庭の包丁まで没収した上で10軒に1丁の割合で包丁を割り当てて順番に使うことにさせた。 調理上の不都合から、薄い鉄片を用いて削った麺を作ったことが発祥という説がある。

時間がかかっていると麺の茹で具合が違ってくるため、麺を削るには手際のよさと、麺を長く均質に削る腕が必要であり、熟練した料理人は確保が難しいうえ給料も高い。 2010年、河北省に住む発明家が自動車のワイパーから考えついた自動麺削りロボットを発明し、話題になった。

郷土料理ー3

 === 続く ===

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