睡眠の都市伝説の真意 =057=

☆彡 睡眠の都市伝説を斬る =三島和夫・睡眠研究者= 彡☆

【この企画は“Webナショジオ・連載/睡眠の都市伝説を斬る”に追記補講した】

睡眠の世界記録、 ラット Vs 人間  =2/3=

 睡眠研究=1

​​ 断眠開始直後は食事の摂取量が増えて活動量(エネルギー消費量)も増加し、見かけ上は元気に見えた。しかしこれは一時的で、断眠を続けると体重や活動性はしだいに減少していった。また免疫機能も徐々に低下し、微生物による感染が目立つようになり、2週間足らずですべて死んでしまったのである。死因は敗血症(全身の感染症)だったらしい。

「らしい」と書いたのは、実は断眠による死の直接的な原因は確定していないためである。死亡したラットを解剖しても臓器などに死因となる大きなダメージは見つからなかったのだ。その代わり、断眠ラットでは免疫力低下のほかにも、体温低下や副腎皮質ホルモン(ストレスホルモン)が大量に分泌されるなどさまざまな変化が生じていた。これら1つ1つが死につながるリスクであり、また免疫力を低下させる要因でもある。

断眠の悪影響はかなり複雑で、たった1つのキーワードで説明することはできない。睡眠が剥奪されるだけではなく、精神的・身体的ストレスが複雑に絡み合って生体を傷害し、それがある臨界点を超えると死に至ると考えられている。たとえば先の断眠実験では、ラットが眠ろうとすると嫌いな水に落ちて覚醒させる仕掛けであった。ラットは水に濡れるのが大嫌いである。ラットの苦痛や恐怖は大変なものだったろう。残念ながら、これらの周辺要因を除外して純粋に睡眠剥奪の影響を観察する実験方法は今のところ見つかっていない。

人でも断眠を続けると同じように深刻な事態が起こるのであろうか。人を何週間も完全に断眠するような研究を行うことは倫理上も困難だが、軍隊など極度の睡眠不足が生じる特殊状況下では、やはり免疫細胞の活性低下や抗体の減少など免疫力が広範に低下すると報告されている。また、より短期間の断眠や睡眠不足でも何度も繰り返されることで悪影響が生じることも分かってきた。

このような断眠がもたらす危険性がまだよく知られていなかった当時、連続覚醒時間の世界記録にチャレンジした猛者が何人かいた。現在であれば研究倫理委員会からクレームがついて研究計画は承認されないかもしれない。睡眠科学の分野で最も有名な記録は、サンディエゴの高校生ランディ・ガードナーが樹立した264時間(11日間)である。寿命が約2年のラットと単純に比較できないが、これも大記録である。これより長い断眠記録もあるようだが、ランディ青年の挑戦には睡眠研究で有名なスタンフォード大学のウィリアム・デメント教授が立ち会っており、信憑性が高いとされている。

睡眠研究=2

=資料・文献 (The Wallstreet Jouurnal)=

夫婦の睡眠パターンの違い、いさかいの原因にも (2/3)

研究チームは、男性は夜よく眠れると、報告する関係の満足度が高くなる傾向にあることを突き止めた。一方、女性は関係の満足度が高いと報告すると、夜よく眠れる傾向にあることが分かった。女性は、夜、配偶者と別々の時間に床に就くと、報告する満足度が低くなることも分かった。ランド研究所の臨床心理学者兼行動社会学者で、論文の共同執筆者でもあるウェンディ・トロクセル博士は、「女性は関係の変化により敏感なため、関係がうまくいっているかどうかと睡眠との間に相関が見られる」と述べ、「男性だと、睡眠が2人のコミュニケーションに影響をもたらし、それが関係に影響を与える」と話した。

トロクセル博士とそのチームはまだ発表されていない研究では、女性が関係への満足度が高いと報告した場合、その前日の夜に配偶者と同じ時間に寝ている確率が高いことを突き止めた。これは男性には当てはまらなかった。

この発見からは1つの疑問が生じる。自分とパートナーの就寝時間が違う場合、どちらかに合わせるべきなのかという疑問だ。

専門家はカップルが同じ睡眠パターンを共有する場合は多いと述べる。人は同じスケジュールで動いている人と一緒になる傾向にあるからだ。それは恐らく、機会の問題だろう。早起きの人は夜中過ぎのバーにはいないだろうし、夜更かしする人は夜明けのスポーツジムにはいないだろう。睡眠パターンを共有する傾向は、2人の関係の長さとは無関係だ。つまり、どちらかがもう一方に合わせているわけではなさそうだという意味だ。

実際、生まれつきの睡眠リズムを変えることは簡単ではない、と専門家は指摘する。朝型ないし夜型のタイプはある種遺伝的なものであるため、それを変えることは夫婦とその関係に多くのストレスをもたらす。そのため、もし自分が極端に朝型ないし夜型の場合は、専門家の支援がなければそれを変えることは非常に困難だ。大半の人々は必要に応じて睡眠パターンを多少調整できる。仕事のために早起きするといったことだ。しかし、それは必ずしも最適な睡眠時間を得られることを意味しない。

研究によると、睡眠パターンの違う夫婦でも、問題解決能力が高ければ、関係への満足度を高められることが分かっている。

睡眠パターンの違いが夫婦のいさかいの原因なら、もう1人が寝ているときは音と光を最小限にするなど、簡単なことを依頼することから始めれば良い。専門家は次の段階として、驚くようなことを提案する。それは別室で寝ることだ。

ただし、前出のトロクセル博士はまず、別室で寝ることがなぜ最善だと思うのかについて夫婦で話すべきだと警告する。「中には、片方がよく眠れないからと言って、どうしようもなくなって別々に寝ることを選ぶカップルもいる。会話をせずに、だ。こうなると、もう一方は捨てられたように感じるだろう」と同博士は話した。  決断は夫婦にとって何が最善かを基にして下すべきだ。家族や友人の意見を基に決めるべきではない。

睡眠研究=3

 === 続く ===

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民族のソウル・フード探訪 =160=

◇◆ 世界魂食紀行 ソウルフード巡礼の旅   ◇◆

【“NATIONA GEOGRAPHIC/日本語版(文=中川明紀・編集者)”に追記補講】

火花を散らす、中東の“ホモス・ウォー” =1/3= ★

​​​​ ​​郷土料理ー1

​ ​​まさか、道路の向こうに“中東のパリ”があるとは……。

夏真っ盛りのある日、マダガスカル料理を食べに東京・お茶の水を訪れていた私(前回参照)。 心地よい満腹感に浸りながら店を出て腹ごなしに道を歩いていると、道路の反対側に佇む一軒の店が目に留まった。

1階も2階もガラス張りのオシャレな外観なのだが、店頭に掲げられている料理の写真から感じるのは異国の情緒。 ソウルフードアンテナが反応した私は小走りで横断歩道を渡り、店の前に立った。

「ADONYS(アドニス)」というのが店の名前らしい。 その下には「レバノン料理」の文字。しかも、レストランというよりはお客さんがレジカウンターで注文し、料理を受け取ってテーブルに座る、いわゆるファストフード店のようだ。 これはおもしろい。さすがに食べたばっかりで満腹な私は、後日お腹をすかせて訪ねることにした。

レバノン共和国は地中海に面した中東の小国。 西欧風の建物が立ち並ぶ首都ベイルートは、その美しさから“中東のパリ”と呼ばれている。 数日後、改めて店の前に立つと、白と黒を基調にオレンジでアクセントを効かせたアドニスの店構えにも、洗練された雰囲気が漂っていた。

「いらっしゃいませ」

レジカウンターで応対してくれたのはカッセム・ハッシュハサンさん。 6月に来日したばかりのレバノン人だ。メインメニューはハンバーガーならぬラップサンドで、鶏肉や牛肉を巻いた5種類が並ぶ。 それにポテトやサラダなどのサイドメニュー、ドリンクのセットで頼む人が多いようだ。さっそくおすすめを尋ねる。

「一番人気はファラフェルサンドですね」

ファラフェルといえば、エジプトの料理教室で食べた“そら豆のコロッケ”ではないか(前回参照)。 聞けば、ファラフェルはエジプトやレバノンに限らず、中東諸国で幅広く食べられているという。 「レバノンはそら豆も使うけれど、ひよこ豆のほうがポピュラーですよ」とカッセムさん。 この店のファラフェルもひよこ豆だというので頼むことに。 せっかくだからセットにしよう、とサイドメニューに視線をうつすと見慣れない料理があった。

「ホモス?」

写真にあるのはクリーム色のペースト(フムスとも呼ばれている)。 「レバノンを代表する食べ物だよ」とカッセムさんがいう。それならばと、食べてみることにした。

たっぷりとオリーブオイルがかかったホモスはまろやかだった。 塩分強めでコクもあるが、全体としては甘みがあってやさしい味わい。ホブスとも呼ばれるピタパンにのせて食べることが多いようだ。 「これ、何のペーストなんですか?」とうかがう。

「ひよこ豆ですよ。 やわらかく煮たひよこ豆を、タヒーニ(ゴマのペースト)、オリーブオイル、塩、レモンなどと一緒にペーストにするんです」。なんと、ホモスもひよこ豆とは……今日はひよこ豆尽くしだ。 日本ではあまりなじみがないひよこ豆だが、トルコ南東部が起源とされ、中東では紀元前から栽培し、食されている。

郷土料理ー2

=資料=

ホモスあるいはフムスハマス(英語)は、ゆでたヒヨコマメに、大蒜、練り胡麻、オリーブオイル、レモンなどを加えてすりつぶし、塩で調味したペースト状状の料理。 レバノンとイスラエルでは、ホモスの本家争いが過熱しており、トルコ、ギリシャ、キプロス、イスラエル、パレスチナ、ヨルダン、レバノン、シリア、イラクなど中東の広い地域で食べられている伝統的な料理である。

アラブ人は、オリーブ油をホモスに混ぜる代わりに、ホモスを平たい皿に盛りつけて、円形または環形のくぼみをつくって、そこにエクストラバージンオリーブ油を注ぐことが多い。 それから、ヒヨコマメ、柘榴の実の粒、刻みパセリ、クミンスンマークの実の粉末などで美しく飾り付ける。 なお、温かいフンムスを平皿に盛り、挽肉松の実バターで炒めてかけることもある。

ホモスは、ひよこ豆で作った一種のサラダといえる。 見た目はマッシュポテトに似ていないこともない。 中東では前菜を複数並べた食卓「メゼ」の一品として、伝統的なピタというパンにつけて食べるのが一般的である他、副菜にもなる。 野菜やトルティーヤにつけるディップピタサンドイッチラップサンドイッチの具としても用いられる。

豆とゴマを原料としているので、タンパク質や植物繊維に富み、ミネラル分を多く含む。 また、オリーブオイルに由来する単価の不飽和脂肪酸も豊富で、かつ純植物性の料理なので、世界中のベジタリアンに好んで食べられている。 本来はタヒーナというゴマのペーストを利用するが、日本では入手困難なので、ほとんどの場合、練り胡麻で代用される。 ゴマの替りにピーナツバターを用いる事もある。

郷土料理ー3

 === 続く ===

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