民族のソウル・フード探訪 =162=

◇◆ 世界魂食紀行 ソウルフード巡礼の旅   ◇◆

【“NATIONA GEOGRAPHIC/日本語版(文=中川明紀・編集者)”に追記補講】

火花を散らす、中東の“ホモス・ウォー” =3/3= ★

​​​​ ​​郷土料理ー1

 ところで、なぜレバノン料理のレストランではなくファストフード店にしたのか。 オーナーのヨアンさんに伺うと、「そもそもアドニスの本店はフランスのリヨンにある」という。

「フランスに移住したレバノン人の兄弟が、母国の伝統料理を忙しく働く人たちに手軽に食べられるスタイルで提供しようと、1999年にオープンさせました。 これが瞬く間に人気になり、現在はリヨンに5店舗を展開しています」

もともとレバノンは一時的にフランス領だったこと、キリスト教徒が多いことから欧州の影響を受けていて料理も洗練されている。 しかも、その料理は豆や野菜が中心でヘルシーなため、欧米のセレブの間で注目されているという話は耳にしたことがある。 確かに今日はひよこ豆づくしだし、メゼも他国に比べて野菜が多いらしい。

そこに、本来はピタパンの中に具を入れて食べるところを、ラップサンドというオシャレなスタイルで提供したことがうけたのだろう。 そして、日本に馴染みがあったヨアンさんが、このスタイルとファラフェルなどの味が日本人にも合うに違いないと2015年11月に東京店を開いたのだ。 厨房に立つのはレバノン人が中心。 この日は会えなかったが、創業した兄弟も数カ月に一度、来日しているそうだ。

話を伺いながらファラフェルサンドにかぶりついた。 ファラフェルの衣はサクサクで、その中にギュッと包まれた具はホモスより粗く豆の食感が小気味いい。 ちょっとピリ辛なのは唐辛子を使った調味料「ハリッサ」をアクセントにしているから。 イスラム系の国の中でもチュニジアなど北アフリカでよく使われる調味料で、レバノンではそれほど用いないが、日本人の多くが「ピリ辛」を好むので入れているのだそうだ。

その国に合わせてテイストをちょっと変えるのも、レバノン料理を好きになってもらいたいから。 創業者の思いは遠く日本の店で働くレバノン人たちにも受け継がれているんだなあ。 そうしみじみ思っていると、カッセムさんが笑顔で言った。

「レバノンは中東でもとくに美人が多いと言われているけれど、それはヘルシーな料理のおかげだよ。 かわいい子はだいたいベジタリアンさ」

なに、その言葉のマジックは。 これはあやからねばならないと、ホモスをほおばる夏の夕暮れであった。

郷土料理ー2

=資料=

レバノンの卵の料理 : イッジ(刻んだハーブ、カリフラワー、ズッキーニ、ヨーグルト、白身魚、牛や羊の脳などを溶き卵と混ぜて耐熱皿に入れ、焼く料理。 スペインのトルティージャやイタリアのフリッタータ、イランのククと類似する。

レバノンの肉の料理 : ケバーブ(中東で広く食べられている肉の串焼き) /  シャーウェルマー (調理法はトルコのドネルケバブと同じだが、タラトールを添える) /  キッビ(ブルグールと挽肉を混ぜて作る料理の総称) /  カフタ(ミートボール状の挽肉料理) / サンブーサク(挽き肉や白いチーズを詰めて焼くか、油で揚げた小型の半月形のパイ) /  (ピザと似た挽肉のパイ) /  (円形にのばしたパン生地の上に具をのせ、三角形に折り畳んで閉じたパイ) /  ムグラビーヤクスクスに由来する料理)
レバノンのパン : クマージュ(中が空洞の円形の薄いパン。いわゆるピタマルクーク(イタリアのピザのように薄くのばして焼いた円形のパン) /  トラミ(円形の厚みのあるやわらかいパン) /  サージュ(極薄のパン) / マナーキーシュ(薄くのばしたパン生地にオリーブ油とザアタルを塗って焼いたピザのようなパン) / カアク(リング状のパン、あるいは菓子)

レバノンのデザート :  バクラーワ、バ・レーワ(バクラヴァバターを塗ったフィロ生地を何枚も重ねてナッツを包み、シロップをしみこませたミルフィーユのような菓子)/  (すり胡麻、果物、穀類などを砂糖や油脂と混ぜて作るヌガーに似た菓子) /  リズ・ビル=ハリーブライスプディングのこと) /  ラーハトゥル=ハルクムのこと) / (薄いパンケーキで無塩のフレッシュチーズやクロテッドクリーム、ナッツを包んでシロップに浸した菓子) / クナーフィ(小麦粉の細麺状の生地でフレッシュチーズやナッツを包んで焼く甘い菓子) /  ムシャッバク(イースト入りのゆるい生地に色をつけ、輪を描くように揚げ油に落として揚げ、シロップに浸けた菓子)

レバノンの飲み物 ; アル=マザ(レバノン産のビール)  / アラック(度数の高い蒸留酒。アニスの香りがする)  カフウィ(濃いコーヒー。入れ方はトルココーヒーとほぼ同じ) /  ラバン(ヨーグルトを冷たい水と混ぜて撹拌し、塩味をつけた飲み物。トルコのアイランとほぼ同じ) /  (果物やマーワルド(ローズウォーター)のシロップを氷水で薄めた飲み物)

郷土料理ー3

 === 続く ===

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