睡眠の都市伝説の真意 =061=

☆彡 睡眠の都市伝説を斬る =三島和夫・睡眠研究者= 彡☆

【この企画は“Webナショジオ・連載/睡眠の都市伝説を斬る”に追記補講した】

朝方勤務がダメな理由  =3/3=

 睡眠研究=1

​​ 第3に、実に残念なことだが救われるべき夜型の人ほど光による朝型シフト効果が出にくく、また休日に逆戻りしやすい。 体内時計が後方へシフトする力が強いためで、エンドレスの努力が必要になる。 そのため朝型勤務への適応度については夜型を中心に「落ちこぼれ」が出てくるだろう。 夜型は決して少数派ではない。 成人の3割は夜型である。

気になる方は国立精神・神経医療研究センターが作成した睡眠医療プラットフォームを訪れていただきたい。 自分のクロノタイプが何型なのか、一般成人の中でどの程度に位置するのか算出してくれる。

このサイトで判定されるクロノタイプは、1日のどの時間帯に目覚めやすく、パフォーマンスが高まり、疲労を感じ、そして眠りやすいか包括的に評価する指標である。 体内時計の周期が長いことは夜型体質になる最大の原因であるが、そのほかにも必要睡眠時間が長いために早寝しても起床が辛い、早朝低血圧で起床後の能率が上がらないなど人によって事情はまちまちである。 このような体質的な夜型の人にとって、朝型勤務は仕事のパフォーマンスを低下させる大きなリスクになる。 短期的な調査では見落とされがちである。

夜型体質の人の苦労を理解するには、下流(夜型)に向かう川に小舟を浮かべて、流されないように毎日必死にオールを漕ぐ船頭をイメージしていただきたい。 朝型の人は流れが緩やか、時には流れが止まっていることもある。このような人々は朝型勤務も全く苦痛でない(体内時計の周期が24時間よりも短すぎて、アマゾン川のポロロッカのように逆流し、ひどい早寝と早朝覚醒に陥る遺伝性の睡眠障害もある)。 これに対して夜型の人は激流との戦いである。流されないようにするのが精一杯。どうやって上流に行けというのか。 カヤックのオリンピック選手でもいずれは疲れ果ててしまうだろう。

朝型勤務の問題点をまとめると、/1)睡眠リズムを朝型にする(前倒しする)のは体内時計のメカニズムからみてハードルが高い、/2)結果的に現状でも限界に近い睡眠不足をさらに悪化させる可能性がある、/3)朝型勤務に適応しにくい労働者が少なからず存在する、4)特に体質的な夜型傾向の強い人では適応しきれず心身の不調を引き起こしかねない、などが挙げられる。 不眠や生活習慣病など持病のある人はさらに健康管理が難しくなるだろう。

朝型勤務が徹底され、かつ残業が減れば、たしかに会社の電力消費量を抑える効果は期待できるだろう。 ある大手企業では朝型勤務に夜間残業と同じ割増賃金を乗せるというインセンティブをつけても総人件費を減らすこともできたそうである。 短期的な経費節減にはつながりそうである。 しかし、会社の近くのスタバが残業持ち帰りの社員で満席になったなどという話もある。 本当に仕事を早めに切り上げて充実ライフを過ごすことのできる労働者がどれだけ増えるだろうか。

労働者の長時間労働問題は総業務量や生産性の問題であり、勤務時間の時間的な分配調整でお茶を濁せる類いのものではないと思うのだが。 朝型勤務を推進する企業が掲げる「夜型の残業体質の転換」というスローガンは聞こえは良いものの、その効果についてはかなり眉唾であり、リスクについては論議を尽くしていない。 拙速の印象が拭いきれない。

一方で、朝型勤務推進派の主張にも傾聴すべきものがある。 残業イコール仕事を頑張っている人というステレオタイプな考え方からの脱却である。 終業時間を設定するという考え方はとかく長時間労働や寝不足自慢をする傾向がある日本人にとっては一石を投じる効果がある。だからといって、終業を早くした分早起きして仕事を始めろという発想は楽観的に過ぎる。 その理由は今回ご説明した通りである。

最近流行のビジネス用語「ダイバーシティ」とは多様な人材を積極的に活用しようという考え方らしいが、労働者のパフォーマンスを最適化する勤務時間についても是非多様性を認めてほしい。 睡眠やクロノタイプも個性の1つなのだから。

睡眠研究=2

=資料・文献 (The Wallstreet Jouurnal)= 

米労働者3分の1が睡眠不足―5兆6000億円の生産性損失(1/2)

米国の労働者の3分の1が日中のピーク時に活動するための十分な睡眠をとっておらず、慢性的な疲労による生産性の低下で数百億ドルが失われている――。ハーバード大学医学大学院の研究者がこんな研究結果を発表した。

睡眠不足による生産性の低下に懸念を抱く企業は増えている。プロクター・アンド・ギャンブル(P&G)やゴールドマン・サックス・グループといった企業の幹部が、従業員がうたた寝しないようにするため、睡眠衛生教育から睡眠を誘発するメラトニンを抑制する照明の設置まで、さまざまな投資に乗り出している。

米疾病対策センター(CDC)の推定では、米国では労働人口の30%に当たる4060万人に上る人たちが十分に休息をとっていない。また、ハーバード大学医学大学院の科学者の試算によれば、米企業では労働者の睡眠不足による仕事の効率低下で、年間632億ドル(約5兆6000億円)の生産性が失われていることが明らかになった。

睡眠研究=3

=== 続く ===

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民族のソウル・フード探訪 =164=

◇◆ 世界魂食紀行 ソウルフード巡礼の旅   ◇◆ 16p.見だし③赤色

【“NATIONA GEOGRAPHIC/日本語版(文=中川明紀・編集者)”に追記補講】

★  ラーメンのルーツはウイグル料理にあり?! = 2/3= ★

​​​​ ​​郷土料理ー1

 このとぐろをほどきながら、グプルジャンさんは指を使って麺を細く延ばしていく。 ある程度の長さでとぐろから切り離すと、今度はその麺を両手にかけて勢いよく上下に振りだした。 バン、バンと音を立てながらまな板に打ち付け、麺はどんどん延びて細くなる。長くなるとそれをまた手にかけ、麺は2本から4本、4本から8本へと増えていく。

初めて麺打ちを見たが、まさに職人技。いままで、麺打ちはパフォーマンス色が強いと思っていたが、コシを出すために大事な工程だそうだ。 とぐろ状の時に直径1センチほどあった麺はあっという間に、4分の1程度の細さになった。

「ラグメンとは、振りながら延ばすという意味。麺の太さはそれぞれの好みで違うけれど、どの家庭も自分たちで打ちます。最近は生地をつくる機械も普及しているようですが、最後の延ばして打つ工程はみんな手でやっているはず。 そうしないと美味しい麺ができませんからね」

ウイグルでも料理は基本的に女性がつくるというから、女性はみんなこの麺打ちができるということか。 すごいなあ、と私が感心しているうちに、グプルジャンさんはスープづくりに取り掛かった。 中華包丁で玉ネギ、ピーマン、パプリカ、ニンジン、キクラゲをざく切りにしていく。肉は羊だ。 ウイグル族はイスラム教徒なのでイスラムの法に則ったハラルフードではあるものの、ラグメンに入れるものは決まっておらず、家庭や好みによって異なるという。

切った食材を熱した中華鍋に入れると、ジュッといい音がした。 鍋を振るほどに炎が勢いよく舞い上がる。 味付けはトマトに塩、唐辛子、ニンニク、ショウガ、そのほか様々な調味料を入れていく。 ここはプロの腕によるところだが、一般的にトマトと塩がベースになるようだ。 最後に煮込むが水気は少なく、スープというより「あん」のほうが近いかもしれない。

茹でた麺にあんをかけて、ラグメンが完成した。 酸味と甘みが相まったあんのにおいに胃袋を刺激され、熱々の出来立てをさっそくいただく。 茹で上がった麺は白くやわらかそうに見えるが、口に入れて驚いた。 モチモチと弾力に富み、なんとも食べごたえのある麺なのだ。 そこにピリ辛でコクのあるあんがよく絡む。 野菜の甘み、肉のうま味、さまざまな味が折り重なった奥深い味に思わず汁を飛ばしながらすすりこむ。

あ、音を出してすすっていいのかな。ふと思って尋ねると、「そこは自由です」とグプルジャンさん。 それではと遠慮なくいかせてもらった。 だがしかし、すすってもすすっても麺の終わりがやってこない。 「この麺、長過ぎませんか?」。口いっぱいに麺をほおばりながら言うと、グプルジャンさんは笑って答えた。

「麺打ちのあとに切りませんからね。 人間の腸の長さと同じだと言われているんですよ」。 腸って、大腸でも1.5メートルくらいあるんじゃ……。 これはゴールが見えないわけだと、おとなしく噛み切って食べることにする。

郷土料理ー2

=資料=

ウイグルの食文化は、オアシスの農耕と牧畜、およびテュルク系(トルコ)民族の歴史が基盤になっている。  特に、地理的にも隣接するウズベク人カザフ人と共通した料理が多い。 また、食材、調味料、調理法などに、回族や漢族からの影響も見ることができる。 ウイグル料理は清真料理であり、必ずハラールの食材を用いる。

その意味で、中国料理の地域区分として、漢族やシベ族などのムスリムでない民族を含め、27にも及ぶ多民族の料理を内包する新疆料理とは、正確には異なる概念である。 しかし、新疆ウイグル自治区の人口の46%を占め、最も比率が高いウイグル族の料理がその代表として取り上げられ、混同されることは少なくない。

ウイグル人の喫食は、一度にまとまった量を食べる「食事」のタマクと、紅茶を中心にナンや果物、ナッツなどを軽く食べる「喫茶」のチャイに大別される。 主食は小麦と米で、トウモロコシなども補助的に食べる。 肉類は羊肉が主に食され、牛肉や鶏肉もよく用いられる。 野菜も豊富に用いる。 トマト、ニンジン、タマネギ、大根、ナスなどがよく使われる。 香辛料としては、唐辛子、クミンが多用され、ショウガ、フェンネルカルダモンなども用いる。

ウイグル人は、独自の経験的知識の積み重ねなどから得たウイグル医学という体系を持っており、これに基づいて、健康維持をするためによいと考えて食べる一種の薬膳料理も持っている。 生薬を茶に加えて飲んだり、イチジクなどのジャムや各種のナッツを炒って作る粉状の食品を積極的に取って、栄養の偏りがないようにし、ヨーグルトや季節の果物をよく食べることで、長寿を得ている。

なお、テュルク系のムスリムであるウイグルには酒の文化もあり、ザクロなどの果物を原材料とした酒類も醸造する。 しかし、イスラム教のクルアーン(コーラン)で飲食を禁じているため、禁酒するウイグル人も少なくなく、飲酒にも場所や作法などのマナーが見られる。

郷土料理ー3

 === 続く ===

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