睡眠の都市伝説の真意 =069=

☆彡 睡眠の都市伝説を斬る =三島和夫・睡眠研究者= 彡☆

【この企画は“Webナショジオ・連載/睡眠の都市伝説を斬る”に追記補講した】

在宅介護を破錠させる認知症の睡眠障害 =2/2=

 睡眠研究=1

 睡眠障害はせん妄を引き起こし、悪化させる最大の原因でもある。そのため、睡眠障害は在宅介護を困難にさせる一因になっている。実際、我々の調査でも「在宅で介護を受けている高齢者」と「グループホームに入所を余儀なくされた高齢者」ではどのような違いがあるのか統計学的な検討してみたところ、中核症状の重症度には違いが見られなかった。すなわち物忘れは在宅介護を困難にさせる主要因ではなかった。では家族に入所を決断させる要因とは何か?

影響の大きいワースト3を挙げると、第3位は男性であること(女性に比べて危険度1.3倍)、第2位は攻撃的行動があること(無い場合の2.2倍)、そして第1位は予想通り睡眠障害があること(同4.5倍)であった。

睡眠障害が重症になるほど辺縁症状は悪化し、逆に睡眠障害が改善すると辺縁症状も緩和されることが明らかになっている。つまり、認知症患者に夜間によく眠ってもらうことは介護負担を軽減するためにとても有効なのだ。ところが認知症の睡眠障害を治すのは本当に大変なのである。安全で有効な薬物療法は残念ながら見つかっていないからだ。認知症では薬が作用するはずの脳部位にそもそも障害があるため効果が出にくく、増量すると逆に副作用が目立つようになる。

誤診も隠れた問題である。睡眠障害と一口に言っても認知症に合併しやすい睡眠障害は実に多岐にわたる。次の図に示すように睡眠薬が奏功する不眠症などはむしろ少数派であり、多種多様な睡眠障害に罹患しているのである。これらの睡眠障害には睡眠薬は効果が無いばかりか、症状を悪化させることすらある。図に挙げられた個別の睡眠障害については私たちが作成した睡眠医療プラットフォームで解説しているのでご興味のある方はご覧いただきたい。

したがって正確な診断が治療の成否の分かれ目になる。それぞれの睡眠障害には、日中の眠気、夕方以降の足のムズムズ感、寝入りばなの足のピクツキ、睡眠中のこむらがえり、悪夢、いびきなど特有の症状があり診断の参考になるのだが、認知症患者では自身の症状を正確に説明できないことが多い。

また確定診断に必須の睡眠ポリグラフ試験にもなかなか協力が得られない。そりゃそうだ、頭皮や顔面、手足や胴体に多数の脳波や筋電図の測定コードを貼り付けられて寝やすいわけがない。貼った端からキレイに引っぺがすご老人も稀ではない。ましてや一晩の検査を実施するのは一苦労なのだ。

そのため診断の際にはどうしても家族の陳述に頼ることになるのだが、ここに大きな落とし穴がある。介護上の負担感が大きい夜間の中途覚醒に訴えが集中し「不眠症」と誤診しやすいのだ。私が「不眠あり=不眠症、ではない」ということを講演や講義の際に絶えず強調するのはこのような理由による。正しい診断なしには有効な治療も期待できない。夜間の不眠症状だけではなく、昼間の眠気や夕方の様子、手足の動きなどこまめに観察することが診断には大事なのだ。

また、薬物療法だけで睡眠障害を解決することは難しい。質の良い睡眠は適度な疲労を伴う活発な日常生活があって初めて得られるからだ。認知症といえどもその基本原則は変わらない。危険防止や徘徊を防ぐために目配りするのも大事だが、できる限り外出させて散歩や運動、日光浴の機会を作ることも長い目で見れば介護負担を減らすことに通じる。

レクリエーションなどの日中の活動を通じて生活のリズムを整えることが目的のはずのデイケアで、手間がかからないからと長い昼寝をさせる施設もあるやに聞く。それでは結果的に家族に夜間の介護負担を押しつけていることと同じである。本末転倒も甚だしく、あってはならないことである。

睡眠研究=2

=資料・文献 (The Wallstreet Jouurnal)= 

成功を収める人々に睡眠は必要か (2/3)

ワシントンはその冬、ニュージャージー州トレントン近郊でのヘッセン人雇い兵(独立戦争時に英軍が雇ったドイツ兵)野営の奇襲に成功した時も、同様の作戦を採用した。これは有名な油彩画「Washington Crossing the Delaware」(「デラウェア川を渡るワシントン」)で永遠に伝えられている。ここでも、敵の不意を突き、戦いの流れを変えるために、ワシントンと彼の部隊は一睡もしなかった。

徹夜労働は、人が眠っている時に働くというだけのことではない。創造力を要する仕事の出来栄えも改善できる。フロストの「雪の夕べ」を考えてみてほしい。徹夜した翌朝に突然、名案がひらめき、フロストは数分のうちに詩を書き上げた。また、ウォズニアック氏のカラーで表示できるモニターに関する場合を考えてみたい。

ウォズニアック氏が説明しているように、他のプロジェクトの締め切りに間に合わせるために、連日の徹夜作業を余儀なくされるなか、極度の疲労が制約のない創造力の触媒の役割を果たした。こうした創造力のもとで硬直した意識的なコントロールがかからずにアイデアが流れ出し、コンピューター業界を変えるほどの革新につながった。

科学的にみて、なぜ徹夜は効果があるのか。なぜこれが昇進の目的に効果的な手段なのか。世間一般の通念では睡眠は良いことで、睡眠不足は不注意なミスにつながりかねないとされている。

実際、仕事を遂行する上で睡眠は不可欠な要素だが、徹夜も賢く取り入れれば、他とは違った役割を果たすことができる。例えば、ミシガン州立大学とミシガン州にあるアルビオン大学の研究者らによる2011年の研究では、成人の2つのグループが、創造的な洞察を使うことが必要な難題を与えられた。最初のグループは24時間周期のリズムの「頂点」でこうした問題に取り組もうとした。

他のグループは覚醒状態が低く、集中力がない時に問題を解かされた。この疲れたほうのグループが問題解決が著しく優れていて、また、他のそれほど想像力を要しない問題の解決にも同じくらいの効果を発揮した。・・・・・つづく

睡眠研究=3

=== 続く ===

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民族のソウル・フード探訪 =172=

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【“NATIONA GEOGRAPHIC/日本語版(文=中川明紀・編集者)”に追記補講】

 千葉で見つけたアフガンの小さなオアシス = 1/3= ★

​​ ​​ ​​郷土料理ー1

 東京駅からJRで1時間弱。 私が今回降り立ったのは千葉県四街道市。 東京圏のベッドタウンである四街道になぜやってきたのかというと、ここ数年、この地にある国の人たちが増えていると聞いたからである。

アフガニスタン・イスラム共和国。

東南をパキスタン、西をイランと接する中央アジアの国だ。 四街道市の人口統計によると2015年で392人。 中国人の301人を大きく上回り、市の外国人住民人口1位だという。

以前、ブラジル人が多く住む群馬県大泉町に訪れたことがある(前記参照)。 大泉町にはブラジル料理店やブラジル人向けのスーパーが点在し、イベントなども開催されていた。 四街道にもそんな異国情緒が漂っているのだろうか。 そんな疑問と期待を抱いて訪れたのである。

四街道の駅から延びる県道を北に歩いてみる。 大型スーパーや家電量販店が並ぶ一般的な郊外の町で、異国らしさは特に感じられない。 まあ、考えてみればそうだよな。 人口9万人以上のところに400人足らずだもの。 とはいえ、何かあるのではないかとしばらく歩くと……発見しました、赤い看板に「アフガニスタン」の文字。 インド、トルコなどの名も並列されているから、エスニック系のレストランだろうか。 「こんにちは~」とドアを開けてみる。

目に飛び込んできたのは積み重なった米袋。 棚には缶詰や調味料、レトルト食品が並び、冷凍庫らしきケースもある。どうやらここは食材店らしい。 レジの店員に尋ねるとハラールフードの店だと教えてくれた。 ハラールとはイスラム教の戒律で許されたもののこと。 きっとこの界隈に住むイスラム教徒が買いにくるのだろう、ってあれ? 奥に厨房があるぞ。

「隣がハラールのレストランなんですよ。 オーナーも僕もイラン出身だけど、アフガニスタン人スタッフもいるし(この日は休み)、お客さんはアフガニスタンの人ばかりですよ」

レストランではイラン、インド、アフガニスタンなどの料理が食べられるという。 それを聞いたら食べないわけにはいきません。 さっそく隣の「アリアン レストラン」のドアを開けた。 しかし、開店直後のようでまだ客はいない。 席につき、メニューを見ながら店員におすすめのアフガニスタン料理を聞く。

「一番人気はカブリですね」

羊の肉やニンジンなどが入ったピラフのような料理だという。 これってウズベキスタンのプロフ(前記参照)みたいなものかな。 そう聞くと、 「そうそう、アフガニスタンではカブリ・パラオというんですよ」という。

郷土料理ー2

=資料=

ハラールは、イスラム法で許された項目をいう。 端的にはイスラム法上で食べることが許されている食材や料理を指す。 反対に、口にすることを禁止されている物をハラームと言い、この語は「やってはならないもの(禁止)」という意味でハーレムと同じ語源である。

イスラム法の下では豚肉を食べることは禁じられているが、その他の食品でも加工や調理に関して一定の作法が要求される。 この作法が遵守された食品がハラールとされる。 なお、ハラールとハラムの中間に疑わしいものシュブハという概念がある。

豚と同様に不浄(重度ナジス)とされている犬、獲物を捕獲するための牙や爪がある虎・猫などの動物、きつつき、ロバ、ラバを食べることが禁止されているが、それ以外の肉であっても屠殺が正規の手順に従ったものでなければ食べられない。 このため、ムスリムは単純に材料表示だけを見て判断することが出来ないためハラールの表示が必要となる。

ただし、世界的に統一された基準はなく、各国の認証機関によって制度が異なっているため、ある国では禁止されている食品や規定が、他の国では問題とならないこともある。 信仰とは神と個人との契約であり、他人の信仰に口を挟むことと同義となるため、ムスリムが自分の考えとは異なる基準のハラルを問題視することは難しい。

このため、ムスリムによっては、自分が信頼するハラルマーク以外のマークには近づかないとする人もいる。 ムスリムが大多数を占めるエジプトなどの中東では、出回っている食材がハラールであることが当然のため、生活する上であまり人々に意識されない。 一方で、豚肉をよく使う華人も多い東南アジアでは、かなり意識される傾向があるとされる。

郷土料理ー3

 === 続く ===

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