睡眠の都市伝説の真意 =075=

☆彡 睡眠の都市伝説を斬る =三島和夫・睡眠研究者= 彡☆

【この企画は“Webナショジオ・連載/睡眠の都市伝説を斬る”に追記補講した】

“夜勤の心得-時計はそのまま、眠気の対処” =2/2=

 睡眠研究=1

​​ 体内時計は「夜に眠気が強くなる」、「昼に目が覚める」ように常に脳と体に働きかけている。したがって夜間時間帯に効率よく仕事をしようということ自体、無茶な話である。であればと、「夜勤の日だけ体内時計の時刻を昼夜逆転できないか?」という対策が頭に浮かぶ。睡眠問題をよく勉強している労務管理の担当者の方々からも質問を受けるのだが、これは非常に難しい。

最大の理由は体内時計の調整にはかなり時間がかかること。夜勤時間帯に眠気もなく活発に仕事ができるようにするには丸々12時間近くも体内時計をずらす必要がある。夜勤に体内時計を合わせるには3週間程度を要するのだ。

眠気や睡眠に大きな影響を及ぼす深部体温(脳の温度)を例にして説明しよう。

日勤時には勤務中の深部体温が高く、睡眠中に低くなる(図上段)。そのまま夜勤に入ると、就業時間中に深部体温は低下してしまう(図中段)。これでは眠気が強く、能率も上がらない。逆に夜勤明けの睡眠時には横になったことで若干体温は下がるが(見かけ上の低下で体内時計はまだほとんど動いていない)、日勤時の夜のように大きな体温低下が生じないため睡眠の質も悪くなる。

体調不良を我慢して、3週間ほど夜勤を続けていると、ようやく深部体温リズムが12時間ずれて夜勤に合わせたコンディションが概ね完成する(図下段)。それでもまだ完全には体内時計の時刻は逆転していない。夜勤後半になると軽度ながら深部体温の低下が認められている。かように体内時計というのは“頑固”なのである。

そもそも、3週間も夜勤を続ける人がどれだけいるだろうか。さらには、夜勤向けに整えられた体内時計の顛末は如何に?

海外では数週間~数カ月間続く恒常的な夜勤シフトもあるものの、日本ではかなり珍しい。2交代や3交代など夜勤のパターンによっても異なるが、月に5~8回(週に1~2回)程度の夜勤が一般的である。そのような散発的な夜勤に合わせて体内時計を動かそうとしても到底間に合わない。強い光を特定の時間に長時間浴びるなど、もう少し速く時刻を合わせられる特殊な方法を用いても最低数日かかる。

たとえうまく体内時計を夜勤時刻に合わせられたとしても、夜勤明けが問題である。1週間の大部分は昼に起きて夜に寝ることになるので、かえって不都合が生じる。1晩か2晩しか続かない夜勤のために体内時計を調節するのは合理的ではないのである。

悩ましいのは中途半端に長い夜勤である。ある自動車メーカーでは1週間の日勤と夜勤を交代で行っていると聞いた。これは珍しいスケジュールである。いろいろな理由があるのだろうが、睡眠医学的にはよろしくない。

1週間もあれば体内時計がそれなりに夜勤に合わせて動いてしまうが、その効用が十分に得られる前に日勤に戻ってしまうからである。日勤時も夜勤時も中途半端な時差ボケ状態が持続する最悪のコンディションになりかねない。その地域の多くの関連企業が自動車メーカーに合わせて同じシフトを組んでいるとのことで影響は甚大である。

そこで、最も一般的な週に1~2回程度の夜勤に従事する際の心得としては、

1)体内時計は日勤に合わせて固定する
2)夜勤時の眠気には仮眠やカフェインで対処する。特に若者には仮眠が効果大
3)夜勤中の仮眠は体内時計の時刻を安定化させる効果もある
4)ただし眠気がとれてもパフォーマンスも向上しているとは限らないことに留意する
5)夜勤明けの運転も要注意

夜勤中の眠気対策、夜勤明けの不眠対策の詳細については、次回、夜勤が苦手なトリ君を相手に補講を行う予定である。

睡眠研究=2

=資料・文献 (The Wallstreet Jouurnal)= 

仕事のし過ぎ、安すぎる給料がストレスに=米調査 (1/2)

ストレスに対する情緒的反応は、男性と女性の間では違いがある。カリフォルニア大学シェリー・テイラー教授(健康心理学)などの研究では、男性は「闘うか、逃げる」が、女性は関係を良くしようとして「気を遣い、友好的になる」ことが明らかになっている。

ストレスの肉体的な反応では、ホルモンが血液内に分泌され、心拍数が増加し呼吸が荒くなり、筋肉が緊張する。ストレスを前向きに受け止める人は、有酸素運動をした時のように脳や筋肉、手足への血流が増大する。これに対し、ストレスで恐怖感や警戒心を持つと、心拍数は乱れ血管は収縮し、血圧が上昇し手足は冷たくなることが多い。時には、動揺したり大声を出したり、判断を間違える。

「仕事に殺されつつあるか 職場ストレスに対する医師の処方せん」と題する著書を持つデービッド・ポーゼン医師は、過度のストレスは個人にとっても企業にとっても有害であるとし、「慢性的なストレスは、精神的な明晰さや短期記憶、決断力や気分など生産性を助けるあらゆるものに影響を与える」と警告する。

睡眠研究=3

=== 続く ===

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