睡眠の都市伝説の真意 =077=

☆彡 睡眠の都市伝説を斬る =三島和夫・睡眠研究者= 彡☆

【この企画は“Webナショジオ・連載/睡眠の都市伝説を斬る”に追記補講した】

時差ぼけはわすれた頃にぶり返す =1/3=

 睡眠研究=1

​​​  今年もお盆休みで海外旅行に向かう人々のニュースがテレビやネットを賑わせた。2014年に日本を出国した人数は1690万人だったそうだ。訪日外国人旅客数も今年は1500万人を突破しそうな勢いである。

ここ何回か朝型勤務、夜勤など、体内時計に関連した睡眠問題について紹介してきたが、いよいよ真打ち「時差ボケ」の登場である。トリを取るには訳がある。時差ボケは睡眠リズムの異常に関わる症状のオンパレードだし、メカニズム的にも生体リズム界の三遊亭円朝か桂米朝かというくらい味わい深い存在なのである。

時差ボケの症状は人によってさまざまだが、頻度の高いものから挙げると、不眠(約70%)、日中の眠気やぼんやり感(約30%)、能力低下や頭重感(約20%)、食欲低下などの消化器症状(約15%)、倦怠疲労感(約10%)、眼精疲労やかすみ目(約5%)など多種多様。時差ボケを経験してはじめて我々は体内時計に支配されているんだなぁ、と気づかされた人も多いだろう。

時差ぼけの歴史は実は古い。15世紀半ばに始まった大航海時代にはすでに船乗りたちがジェットラグならぬボートラグboat-lagを経験したと記録されている。しかし時差ボケが広く知られるようになったのはなんと言っても一般人が飛行機を気軽に利用できるようになった1970年代以降である。

時差ボケのメカニズムについては体内時計と(渡航先での)生活リズムのズレ、と理解している人も多いと思うが実はもう少し深い。ここでは東京から時差13時間(日本より13時間遅れている)のニューヨーク(NY)に出張したK氏のケースを例に、渡航中の彼の体内で何が生じているのか原因別にまとめてみよう。

1)睡眠不足、低気圧、アルコールなど

成田空港を夕方18時に離陸したK氏は機内で一晩を過ごした。機内サービスのビールとワインを多めに流し込んだがよく眠れない。機内ではどうしても眠りが浅く睡眠不足になりがちだ。アルコールも寝つきは若干良くなるが深い眠りはむしろ減らしてしまう。また、機内は0.7~0.8気圧(富士山の5合目程度)のため血中酸素濃度も地上の70~80%まで低下する。微細な振動による乗り物酔いもでる。このように心身の不調がでやすい下地ができあがってしまうのである。

2)体内時計と生活時間のズレ

さてここからが本番。NYのジョン・F・ケネディ国際空港までは直行便で時差とほぼ同じ約13時間かかる。NYは夕方18時だが、機内は低照度だしアイマスクなどもしていたのでK氏の体内時計は日本時間の朝7時のままである。

睡眠研究=2

=資料・文献(AllAbout健康・医療より)=

睡眠医学的に「時差ボケ」とは? 

一般的に時差ボケと呼ばれているものは、睡眠医学では時差障害と言います。国際的な診断基準に従うと、次の3項目に当てはまる場合が、時差障害です。

  • ジェット旅客機に乗って、少なくとも3時間以上の時差がある場所へ旅行したときに、不眠や過眠を自覚する
  • 旅行後1~2日以内に、昼間の心身の機能が落ちたり、全身がだるくなったり、胃腸障害などの体の症状が出る
  • その睡眠障害は他の睡眠障害や内科・精神科的な病気、薬物の使用などでは上手く説明できない

時差ボケによる症状で最も多いのは、もちろん睡眠障害です。パイロットを対象に行った調査では、67%の人が睡眠障害を訴えていました。睡眠障害を訴える人の10人に1人に、日中の眠気だけではなく、知的な作業能率の低下や疲労感、食欲低下が見られました。他にも、ぼんやりする、頭が重い、胃腸障害、目の疲れ、吐き気、イライラ感などの症状が起こります。

時差ボケはいつまで続く? 到着2~3日後がピークの場合も

鉄道や船で人々が移動していた時代には、まだ時差ボケはありませんでした。英語で時差ボケのことを、jet lagと言いますが、ジェット機で世界を旅することができるようになってからの比較的新しい問題なのです。

なぜ、時差ボケが起きるのでしょうか? 高速度で時差がある場所まで移動すると、体内時計と現地の生活時間がずれてしまいます(外的脱同調)。さらに、体内時計がコントロールしている体温やホルモンの分泌、睡眠・覚醒のリズムが、それぞれバラバラになってしまうことが、症状をひどくします(内的脱同調)。時差ボケの症状は、目的地に到着した直後が最も強いように思いますが、実際には2~3日目が一番辛いことがあります。

これは外的脱同調が到着直後が最もひどく、その後時間とともに解消するのに対して、内的脱同調は到着2~3日後にピークになるためです。

睡眠研究=3

=== 続く ===

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