睡眠の都市伝説の真意 =084=

☆彡 睡眠の都市伝説を斬る =三島和夫・睡眠研究者= 彡☆

【この企画は“Webナショジオ・連載/睡眠の都市伝説を斬る”に追記補講した】

睡眠の定義とは何か?― 「脳波睡眠」という考え方 =2/2=

 睡眠研究=1

​ ここまで読んでいただけばお分かりだと思うが、脳波睡眠の周波数や振幅の基準は睡眠の本質的な理解のもと科学的根拠に基づいて決めたわけではない。 被験者が「眠っているように見える(起こしてしまうので被験者には聞けない)」時の脳波を多数計測して共通する所見をとりまとめた「後付け基準」なのだ。

刺激にも反応せず明らかに深く眠っている、会話などをして明らかに目覚めている、このような時の脳波所見には異論が無い。しかし、ウトウトまどろんでいる睡眠と、覚醒の境界領域の脳波については現在でも諸論がある。 現在の基準は、当時の大御所たちがエイヤッで決めたというのが実情だ。

実際のところ、ウトウト状態を脳波で判定するのは非常に難しく、研究資金やノウハウを持つ大手自動車メーカーですら脳波を用いた居眠り運転防止装置の開発に難渋している。 深く眠った時の脳波判定は容易だが、残念ながらそれでは「時すでに遅し」である。

さらに脳波睡眠(脳波覚醒でもある)に関しては、無意識、自我意識、イルカなどでみられる半球睡眠(脳の半分だけ睡眠状態となる)、局所睡眠(大脳皮質の一部領域だけ睡眠状態に陥る、睡眠が深くなる)など複雑かつ魅力あふれる領域が数多くあるのだが今回は置いておく。

ところで、脳波睡眠に対して行動睡眠という考え方もある。

人のような脳波が測定できるのは哺乳類とせいぜい鳥類までである。 爬虫類などでは脳波活動はかなり微弱となり、その構造も人と異なってくる。 両生類や魚類では脳波の存在が大分あやしくなり、昆虫などの無脊椎動物では脳波が測定できない。ではこれらの動物では「睡眠」は無いのだろうか?

その問いに対する回答はまだ得られていない。 ただし、脳波が測定できない動物でも1日の特定の時間帯に睡眠のような休止状態(無動状態)がみられる。 この休止状態をその動物の睡眠と見なして便宜的に行動睡眠と呼ぶようになったのである。

行動睡眠では多くの動物で共通した特徴がみられる。たとえば、体内時計に従って一定時間帯に規則正しく出現する、休止状態に入ると刺激を与えても目覚めにくい、巣の中で特有の眠り姿をとるなどである。 何となく人と同じような寝姿が目に浮かぶではないか。

厳密には脳波睡眠とは異なるが、睡眠科学では行動睡眠という定義は力を発揮する。 実際、線虫や昆虫の行動睡眠の研究から体内時計や睡眠調節に関わる重要なメカニズムや遺伝子が発見されている。

しかし行動睡眠という表現は人では使わない。人の睡眠とは行動上の休止だけではなく意識状態の変化を伴い、それを自覚できるからである。 行動睡眠という定義で科学的に追求できるのは主にエネルギー消費(代謝)の抑制や行動リズム調節などの発生学的に古い睡眠の役割である。 一方、脳波睡眠の研究がめざすのは大脳皮質の休息(恒常性維持) や記憶の固定など高等動物に特有な睡眠の新しい役割なのである。

今回の話をまとめれば、睡眠の定義は用いるツールによって変わり得るということである。 近年、「高磁場磁気共鳴画像装置(MRI)」や「陽電子放出断層撮影装置(PET)」などを用いた脳機能画像学の急速な進歩によって、意識の神経基盤や、 睡眠や覚醒中の脳活動が明らかになってきた。 現在は大がかりな装置が必要だが、いずれ脳波のようにベッドサイドで簡便に測定できるようになれば、睡眠の定義も見直されるかもしれない。いや、その可能性は大である。

「まだ見積もりができてない!? 居眠りでもしてたのか!」と上司からキツーく叱責された新入社員K君。 「いや、寝てなんかいません……」と弱々しく反論するも、白黒つけるために医務室の脳機能測定装置に座らされた。 ピコピコ……「業務上ノ指示ニ素早ク適切ニ対応デキル脳活動ハ認メラレズ。 浅眠状態二相当」なんて“脳の目覚め度”を査定される時代が来るかも……。

睡眠研究=2

=資料・文献 (The Wallstreet Jouurnal)= 

ノンレム睡眠とは?

ノンレム睡眠は、脳を休めるための眠りです。ノンレム睡眠のあいだは、知覚、随意運動、思考、推理、記憶などをつかさどる大脳皮質や、身体を活発に活動させる時に働く交感神経などを休ませています。深部体温を低下させ脳の冷却のために身体から熱が放され、寝汗をかくのが特徴です。ノンレム睡眠時は、脳内で知識としての記憶の定着が行われたり、ストレスが取り除かれたりしています。身体(筋肉)の緊張は低下しています。

レム睡眠時に見られる急速眼球運動がないことから、ノンレム睡眠(NREM<ノンレム>=Non Rapid Eye Movement)と呼ばれています。 ノンレム睡眠には4つの段階があります。
「段階1」のノンレム睡眠時は、声をかければすぐに目が覚める程度の浅い眠りです。「段階2」は、耳から入る情報をキャッチすることはできる程度に眠っている状態です。「段階3、4」は徐波睡眠や深睡眠期と呼ばれ、身体も脳も休んでいる状態です。

多少の物音では目覚めないため、大声で呼びかけたり、身体を揺さぶったりしないと起きません。

こうした眠りの状態を正確に知るためには、脳波、眼球運動、オトガイ筋(あご)の活動など、複数の生体情報を測定します。

レム睡眠とノンレム睡眠は、鳥類や哺乳類など一部の動物にみられる睡眠です。

人間の段階3、4のノンレム睡眠の時間は、他の哺乳類よりも長く、その理由は脳が発達しているためだと言われています。人間の大脳皮質は、機能するために大量のエネルギーを必要とし、機能を維持するための休息も必要とします。人間は活動時間が長いので、その分休息が必要になり、深いノンレム睡眠の時間が長くなったと考えられています。

睡眠研究=3

=== 続く ===

前節へ移行 ; https://thubokou.wordpress.com/2017/09/10/

後節へ移動 ; https://thubokou.wordpress.com/2017/09/12/

 ※ 下線色違いの文字をクリックにて詳細説明が表示されます ⇒ ウィキペディア=に移行
*当該地図・地形図を参照下さい

—— 姉妹ブログ 一度、訪ねてください——–

【疑心暗鬼;民族紀行】 http://bogoda.jugem.jp/

【浪漫孤鴻;時事心象】 http://plaza.rakuten.co.jp/bogoda5445/

【閑仁耕筆;探検譜講】 http://blog.goo.ne.jp/bothukemon

広告

コメントを残す

以下に詳細を記入するか、アイコンをクリックしてログインしてください。

WordPress.com ロゴ

WordPress.com アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Twitter 画像

Twitter アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Facebook の写真

Facebook アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Google+ フォト

Google+ アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

%s と連携中