睡眠の都市伝説の真意 =179=

☆彡 睡眠の都市伝説を斬る =三島和夫・睡眠研究者= 彡☆

【この企画は“Webナショジオ・連載/睡眠の都市伝説を斬る”に追記補講した】 見だし⑤グレー色

 朝ごはんで体内時計をリセットはウソ =1/2=

睡眠研究=1​​

「早寝・早起き・朝ごはんで輝く君の未来~睡眠リズムを整えよう!」 / 文部科学省が推進している「早寝早起き朝ごはん」国民運動のスローガンである(http://www.mext.go.jp/a_menu/shougai/asagohan/)。 ホームページには運動の主旨が説明されている。一部を抜粋引用する。

「子どもたちが健やかに成長していくためには、適切な運動、調和のとれた食事、十分な休養・睡眠が大切です。(中略)最近の子どもたちを見ると、「よく体を動かし、よく食べ、よく眠る」という成長期の子どもにとって当たり前で必要不可欠な基本的生活習慣が大きく乱れています。 こうした基本的生活習慣の乱れが、学習意欲や体力、気力の低下の要因の一つとして指摘されています」

子どもにとって「よく体を動かし、よく食べ、よく眠る」のが大事であることには誰しも異論が無いだろう。 ただし、それがナゼ「早寝・早起き」でなければならないのかというのは疑問だ。 それについては「眠気に打ち克つ力 その2 ―米国学会が若者に“寝坊のススメ”」で述べた通りである。

それはさておき、これまでしばしば「早寝早起き朝ごはん」に関する小学生向けの啓発冊子の中で、早起きすれば朝ごはんが美味しく食べられて健康によいだけではなく、「朝ごはん」自体に睡眠リズムの調節効果(早寝早起きを促す効果)もあると解説してあるのを読んで気になっていた。

「朝ごはん」「体内時計」「リセット」をキーワードにしてインターネットで検索しても、数多くのサイトがヒットし、タイトルだけ読み流すと夜型体質の人でも「朝ごはん」さえ食べれば体内時計が朝型に切り替わり、早寝早起きが楽になるかのように書かれている。

本当に「朝ごはん」にそのようなパワーがあるのだろうか? この問いに対する回答は易しくない。 食事は体内時計(生体リズム、概日リズム)に影響するのか、影響するとすれば体内時計のどのような機能を調節するのかという問いは学術的には奥深く難しいテーマで、現在でも侃々諤々のホットトピックなのである。結論から言えば、手間のかかる実験を行った結果、ヒトでは「朝ごはん」には明確な早寝早起き効果は認められないことが明らかになった。 つい最近のことである。

子ども向けに「朝ごはん」の効果を分かりやすく伝えたい気持ちは分かるが、科学的に証明されていないことを活字にして明記するのは如何なものか。 いささか大人気ないとは思いつつ、今回取り上げた次第である。 「難しい話はともかく、朝ごはんをしっかり食べれば、日中元気に過ごせて、夜もグッスリ眠れるのは当たり前なのでは?」 そう感じる方も少なくないと思う。

気持ちは分かるが、「朝ごはんに睡眠リズムの調節効果がある」という場合には、朝ごはんを食べることによって元気になり巡り巡って睡眠リズムが変わるのではなく、あくまで睡眠リズムを決めている体内時計に直接働きかけて、楽に早寝早起きができるようになるということを意味している。

「睡眠研究のための“異時間空間”「隔離実験室」」でも触れたが、1日当たり10分程度ずれていく体内時計を日々24時間リズムに合わせる(同調させる)のすら結構大変で、そのために絶対的パワーを発揮しているのは「光」である。 体内時計時刻の調節作用を持つものは同調因子と呼ばれ、光以外では運動やある種のホルモンも時刻調節作用を持つとされるがその作用は光に比べて弱い。

睡眠研究=2

=資料・文献= 

生物時計(physiolosical clock)とは、生物が生まれつきそなえていると考えられる時間測定機構。 体内時計生理時計とも言う。 生物の睡眠や行動の周期に影響を与える。 哺乳類では脳の視交叉上核によるとみなされている。 よく知られた生物時計に概日リズムがある。

生物時計は、生物が生まれつきそなえていると思われる、時間を測定するしくみのことである。 生物時計は通常、人の意識に上ることはない。 しかし睡眠の周期や行動などに大きな影響を及ぼしており、夜行性・昼行性の動物の行動も生物時計で制御されている。 例えば食餌の前に胃酸や分解酵素があらかじめ準備されるが、これらも生命時計によるもので、生命時計は個体の能力を最大限には発揮させるに不可欠なものである。

また、昆虫では活動時間に時間差をもたらすことで限られた空間を共有し、同種の異性との出会いの機会を増やすなど動物の生存にとって重要な「時間的住み分け」と「行動の時間配分」を行っていると言うー岡山大学・富岡憲治教授―。

鳥が渡りをする時に太陽の位置を見て方角を定めることができること(太陽コンパス)などからも生物時計が確かに存在していることが知られている。 他にもミツバチが外界から隔てられ日の光も入らない巣の中で仲間に蜜の方向を仲間にダンスで知らせる方法も、その時刻での太陽の方角を規準にしているので、そこにも時計機構が介在していると想定されるのである。 また、植物の花・芽の形成が日長に支配される現象も、時計機構と密接な関係がある。

生物時計はいくつも知られているが、たとえばサーカディアンリズム(概日リズム)、光周期性光周性)などがある。 周期は短いものから長いものまで様々あり、短い周期のものでは、酸化還元補酵素の還元度の周期変化による秒・分単位のもの、また心臓の拍動、脳波、などがあり、周期の長いものでは、鳥の渡り・魚の回遊・植物の開花などに見られるように季節単位(年単位)のものもある。 だが周期性のものだけでなく、一定時間の経過だけを示す「タイマー型生物時計」(砂時計型生物時計)と呼ばれるものもあることが知られている。

睡眠研究=3

=== 続く ===

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