“地球永住・宮原ひろ子/01” 知的冒険 =022=

探検的・冒険的行動で世界を視座するフィルドワーク

太陽活動や宇宙の環境が地球の気候に及ぼす影響を研究する「宇宙気候学」

20年ほど前から始まった比較的新しい学域で、この分野のパイオニア

 宇宙と地球との関わりについて語る武蔵野美術大学准教授・宮原ひろ子

【この企画はWebナショジオ_“地球永住・科学者のアイデア”を基調編纂】
(文・構成:足達千恵子 & イラスト・史料編纂=涯 如水)

◇◆ 宇宙からの視点で地球の住み心地を考える =1/3= ◆◇

宮原ひろ子(宇宙気候学):宇宙からの視点で地球の住み心地を考える(提言編)

こんにちは、宮原です。

 最近の天気予報は昔と比べてとても良くあたります。それは人工衛星ひまわりが毎日鮮明な雲の画像を送ってくれていたり、スーパーコンピュータの計算能力が上がったおかげです。でも、半年予報はまだ外れることも多いですし、来年や再来年の気候となるともはや予測は不可能です。

 長期予報が難しいのは、太陽活動など宇宙からの影響がまだ解明されていなくて、予報に組み込まれていないからかもしれないと考えています。こういった研究は比較的新しくて、「宇宙気候学」と呼ばれています。宇宙と地球のつながりがわかれば、より長期的な視点、例えば46億年というスケールで、地球がどういった環境に置かれてきたのかも見えてきます。

 まずは私たちにとって最も身近な天体である太陽の影響について見ていくことで、宇宙と地球との関わりについて探ってみましょう。

太陽活動は地球にどのような影響を与えているか?

 普段なかなか意識することは無いと思いますが、太陽の活動にはリズムがあります。1年ごとの太陽の写真を並べてみると一目瞭然で、例えば1990年ごろはとても活発だったのが、1996年ごろにはとても弱くなり、そして2001年ごろにはまた活発になっています。だいたい11年くらいのリズムで変化が続いていますが、さらに長い数十年、数百年といった周期もあります。

 太陽は水素ガスの塊なのですが、内部で回転が起こって強い磁場が生みだされています。その磁場は、太陽の赤道のあたりに何重にもぐるぐる巻きついていくのですが、そのうち不安定になって内部から浮上してきます。そうして太陽の表面を突き出てきたものが「黒点」です。

ここにはとても強い磁場が密集していて、これが「太陽フレア」と呼ばれる激しい現象を起こします。ピカっと光ったり、プラズマ(原子核と電子がバラバラになり、それぞれがプラスとマイナスの電荷を持った粒子として動き回っている状態)が吹き飛ばされたり、といった具合です。

太陽からは日常的にプラズマと磁場の風(太陽風)がそよそよと吹いているんですが、太陽フレアが起こると強い磁場と大量のプラズマが一気に宇宙空間に放出されます。飛び出した方向によっては地球の方へも飛んできてしまいます。そうすると地球にも影響を与えます。

 現代社会は、人工衛星などの宇宙の技術によって支えられているという側面があって、実は太陽フレアの影響をとても受けやすくなっているのです。GPS衛星、放送衛星、気象衛星など、たくさんの人工衛星によって私たちの生活は支えられています。太陽から大量のプラズマが地球周辺に届いてしまうと、人工衛星が故障して様々なシステムが使えなくなることがあるのです。

地球自身が持つ磁場が大きく揺さぶられて、その影響で送電線に強い電流が流れて変圧器が焼き切れてしまい、大規模な停電が起こったこともあります。宇宙飛行士の放射線被ばく量も増えます。とても大きなフレアが起こった場合は、実は旅客機でも被ばく量が増えます。

 こういった社会への影響は、とてもわかりやすい例ですが、それ以外にも、太陽からの影響があるのです。それが気候への影響です。以前はあまり重要視されていなかったのですが、太陽活動が下がると寒冷化が起こる、ということを示すデータが2000年ごろから出はじめて、徐々に認められるようになってきました。

明日に続く・・・・

☆ [地球科学・宇宙科学分野]「決定論から確率論へ:気象および気候の予報におけるアンサンブル予報技術 ☆

・・・・・・・・・https://youtu.be/G0IlLSWx60Y・・・・・・・

Ӂ 参考資料・ 生命は地球以外にも存在する?(1/7)  Ӂ

地球の外に生命を探せ! / 『地球外生命は存在する!』著者、縣秀彦氏インタビュー

宇宙人は存在するのか。古くから、人々はその存在を探るべく宇宙にメッセージを発してきた。未だ宇宙人からの返事はない。しかし近年、観測技術の向上により、太陽系内外を問わず、生命の可能性を秘めた天体が見つかってきている。果たして地球外生命体は存在するのか。探査の最前線を、『地球外生命は存在する!』の著者、縣秀彦氏に伺った。(取材・構成/増田穂 : SYNODOS Academic Journalisum)

幅広い生命の定義

――単刀直入に伺います。地球以外にも生命体は存在するのでしょうか。

 いないと証明できません。例えば家にゴキブリがいるというのは、見つければいいので簡単です。しかし反対に「いない」と言い切れるかというと、これは大変難しい。ゴキブリは物陰に隠れているわけですから、いても気づかないことの方が圧倒的に多いのです。

 宇宙人も同じだと考えています。「いる」ということは発見すればすむ話です。確かに今のところ宇宙人は見つかっていません。しかし、今現在見つかっていないからと言って、いないと証明したことにはなりません。

ゴキブリは1匹いたら、家にいるのがその1匹だけだった、ということはまずないですよね。芋づる式に見つかります。宇宙人、地球外生命体捜しというのはそういうものだと思っています。最近はアストロバイオロジーという新しい学問領域で、そうした地球外生命に関す研究が行われています。

――アストロバイオロジー……。あまり聞き慣れないです。

日本語で言うと「宇宙生物学」です。1990年代くらいから始まった、かなり複合的な学問領域で、生物学、化学、宇宙物理学、天文学など、さまざまな分野の人たちが参入しています。特に若い世代が続々と集まってきていて、とても活気のある領域です。

 アストロバイオロジーはまだまだ発達段階の研究領域です。学問的に確立しているとは言い難い。現段階のアストロバイオロジーは、どちらかというと、さまざまな科学分野の研究者の中で、生命にかかわるテーマに関心をもった人たちが集まり、情報共有をするためのプラットフォームになっている感じです。具体的には、生命とは何か、地球上のどこで発生したのか、どのような進化をしてきたのか、宇宙にも生命はいるのか、そういうテーマです。

尚、別記にて 途上国での天文学普及の重要性については、こちらで縣先生が熱く語られています。ぜひ合わせてご覧ください。

夢と希望を与える天文学――天文の力で世界を平和に / 国立天文台普及室長、縣秀彦准教授インタビュー :  https://synodos.jp/science/20049

明日に続く・・・・・

 【ドキュメンタリー】地球外生命体を求めて ☆

・・・・・・・・https://youtu.be/DJyHjPxAluU・・・・・・・

=上記本文中、変色文字(下線付き)のクリックにてウイキペディア解説表示=

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