“遺伝と環境が影響す/04” 知的冒険 =089=

探検的・冒険的行動で未知の世界を視座するフィルドワーク

見た目はホントにそっくりな双子 一卵性双生児なわけだ

つまり遺伝子が100%同じなのだが、性格や気質も見た目ぐらい同じなの?

認知能力とパーソナリティの発達を調べる「双生児法」

遺伝と環境が人間に与える影響研究する / 心理学者・安藤寿康 

【この企画はWebナショジオ_“特集:新・人類進化の道”を基調編纂】
(文=川端裕人/写真=藤谷清美 & イラスト・史料編纂=涯 如水)

◇◆ 安藤寿康・「知能指数は80%遺伝」の衝撃 =1/3= ◆◇

 安藤さんの研究だけでなく、世界中の双生児研究で明らかになってきた一般的な大原則をひとつだけ取り上げるとしたら、こうなる。

  • 遺伝の影響はあらゆる側面にみられる

 これはもう、確立した一般法則と言って良いほど繰り返し観察され、「事実」であると多くの研究者が思っているそうだ。

 安藤さんの著書『遺伝マインド』(有斐閣)で挙げられている図表を単純化して紹介するので、じっくりと眺めてみてほしい。性格にまつわることや、能力にかかわることなど、すべてに程度の差こそあれ遺伝の影響があることが分かるだろう。(下図参照)

どうやってここまで分かるようになったのか、「遺伝と環境」をめぐる研究史をふりかえりつつ、理解していこう。

「わたしがやっている双生児法の研究は、オリジナリティなんてないんです」と安藤さんは笑いながら言う。

「学説史的にいえば、古くは19世紀、チャールズ・ダーウィンの従兄で、生物統計学の祖のひとり、フランシス・ゴールトンがすでに双子に興味を持っていました。その頃はまだ一卵性と二卵性の区別がなかったので、血縁者はこんなに似ていて、特に双子はこれほど似ている、とかやっていたわけです。のちに集団遺伝学や育種学につながっていく研究です」

 フランシス・ゴールトンといえば、人間の才能が遺伝によって受け継がれると主張した人物で、はじめて「優生学(Eugenics)」という今日、きわめて評判の悪い言葉を使い、広めたことでも知られている(なお、当時、遺伝子は発見されていなかった。念のため)。しかし、彼が晩年につくった研究所と教授職は、優生学を大テーマにしつつ、ピアソン、フィッシャーといった現代の統計学を形作った天才たちを輩出した。これは本当にすごいことだ。目下、彼らが基礎固めした統計学は、その道具なしにほとんどの分野で科学論文も書けないほど重要な位置を占めている。ピアソンが統計学を「科学の文法」と位置づけたのは、実に慧眼であった。

・・・・・・明日に続く・・・・

◇ 日本人の9割が知らない遺伝の真実≪AI朗読≫

・・・https://youtu.be/i-3TCcPGnfw・・・
動画再生不能の時は上記URL(⇑)をクリックしてください

■□ 参考資料: 残酷な「遺伝の真実」あなたの努力はなぜ報われないのか (3/4) □■

知ると後悔するかもしれない… / 「遺伝の影響が60%」の意味

= 安藤 寿康 : 慶應義塾大学教授  (行動遺伝学、教育心理学) =

日本人はこの新しくできた学校制度という環境の変化にいち早く適応し、もともと勤勉だった国民的性格が幸いして、立身出世のための手段として、誰もができる(はずの)「学校で努力する」という道をともに歩むようになった。

かくして現行の日本国憲法が謳うように「すべての国民が、その能力に応じて、ひとしく教育を受け」るようになった結果、文字通り「その生まれつきの能力に応じ」て学力格差を生んでいるというわけである。

このような見るからに絶望的な悲喜劇的状況に対して、目をつむるのでもなく、仕方ないとあきらめ思考停止するのでもなく、またそれでも40%の環境要因に「学力向上」の希望を託すだけで安心するのでもない(なぜならそれは遺伝的素質のない人ほどある人以上に努力や教育投資をしなければならないから、現実は安心などできないのだ)、別の考え方、もっと希望のある、そして現実的な考え方はできないのだろうか。

「遺伝の影響が60%」の意味

ここで、そもそもなぜ学力の遺伝の影響が60%と計算できるのか、その数値にどんな意味があるのか説明しておこう。

遺伝の影響が60%とは、テスト得点が80点だったとき、その60%にあたる48点までは遺伝で取れ、残り40%ぶんの12点を環境が補ったというような意味では全くない。それはある集団の成員の「ばらつき」を説明する割合である。

「ばらつき」というのはややなじみのない概念だと思うので、「2階建ての建物の高さ」の比喩で考えてみよう。

この建物の高さを決めているのは1階だろうか、それとも2階の高さだろうか。この問いがナンセンスであることはすぐにお分かりいただけるだろう。

「2階建ての建物の高さ」は「1階の高さ+2階の高さ」なのであって、その両方がそろって初めて全体の高さが定まる。

しかしここに5軒の2階家があり、1階の高さは3mで一定、2階の高さだけが2mから4mのあいだでばらついていたとしたとき、この5軒の高さの「ばらつき」を決めているのは1階だろうか2階だろうか、という問いであれば意味がある。

これは100%、2階の高さで決まっている。つまり2階率100%だ。今度は逆に2階の高さが3mで一定、1階の高さだけが2mから4mのあいだで散らばっていたとしたら、これら2階家の高さの「ばらつき」における「1階率」は100%、「2階率」は0%ということになる。

ここに5軒の2階家があり、1階の高さは3mで一定、2階の高さだけが2mから4mのあいだでばらついていたとしたとき、この5軒の高さの「ばらつき」を決めているのは1階だろうか2階だろうか、という問いであれば意味がある。

・・・・・・明日に続く・・・・・

◆  心理学3 高次の行動とは? ◆

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