食糧危機・食の未来と貧困 =06=

◇◆ 食糧危機は始まっている  ◇◆

 危機に備える・柴田明夫 =6/8= 

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  日本の農家の7割以上が零細農家である。また、農地の約4割が山地と平野の間の傾斜地(中山間地)にあり、生産量を増やすための有効手段である農地の大規模化をするのは難しい。

しかし、世界の食料危機が現実となったときに日本がその難を少しでも回避するためには、国内の農業資源をフル活用することが必須である。

それにはすべての農家がすべての農地で効率よく作物をつくることが重要。  こうした問題を踏まえて日本の農業の生産性を高めていくには平地と中山間地を分けて考える必要があると柴田さんは言う。

「まず、平野においては農地を集約化して産業政策を打っていきます。米の用途の多角化をし、“6次産業化” をすすめて農作物の付加価値を上げることで輸出市場に活路をひらく。  いっぽう、中山間地は零細農家が多く基盤も揃っていないので、まず地域政策として農地・水路・地域コミュニティなど農業のもつ社会的価値を高めていきます。  地域の特性に応じて政策の方向性や価値の置き方を分けて取り組むのです」

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  米の用途の多角化とは、米を国内消費と備蓄にとどまらず、飼料、バイオ燃料として利用すること。それをアメリカのトウモロコシのように戦略物資として輸出する。

そうやって米全体の付加価値を上げれば、農家もやる気が出て生産が増大し、食料自給率の向上にもつながると予測できる。減反廃止政策の狙いのひとつでもある。

いっぽう、「6次産業」とは第一次産業の農林水産業が、生産だけにとどまらず、生産物を生かした加工販売業(第二次産業)や観光農園やレストラン、あるいはグリーンツーリズムなどのサービス業(第三次産業)に取り組むことを言う。

1×2×3、つまり一次、二次、三次を掛け合わせることで多大な効果を生むという考え方だ。

「先進的な農家はすでに6次産業化を進めています。たとえば石川県の『アグリファンド石川』。金沢、白山、能登、加賀地区にまたがる専業農家の人たちが結成したグループです。  組織が生まれたのが約30年前。  彼らはちょうど米の不作と自由化の圧力で世間が騒いでいる時に、危機感を感じていちはやく改革に着手したのです」

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  アグリファンド石川は補助金に頼らず、総合資金という融資制度を利用して積極的な農業経営を行っている。米にとどまらず、肉、酪農、小麦、大豆、野菜、果物、花など、農家ごとの個性を発揮した多彩な農業が営まれ、加工食品の販売やレストランを経営するところも多い。

いずれも個人ではなく従業員を抱えた農業組織であり、販売においても独自のルートを持っている。これがひとつの理想的なかたちだと柴田さんは言う。

「生産から加工、販売、サービスと一貫した取り組みをおこなうことで付加価値を高め、事業収益の拡大へとつながります。 それが持続的な農業経営を可能にするのです。 農家が活き活きと活動することで農業の辛くて収益の低いイメージも払拭でき、若者の就農へとつながります。実際、アグリファンド石川では20~30代の若者も意欲的に取り組んでいます」

政府でも6次産業を推進し、現状の1兆円規模から10兆円に拡大すべく力を入れているという。しかし、農家にとってはリスクもある。

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=== 続く ===

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